Research Abstract |
本年度は,最初にヒト,マウス由来臓器cDNAライブラリーよりそれぞれデザインしたプライマーを用いてヒト,マウスBMP-2,BMP-4,SHHcDNAを単離し,遺伝子配列を確認した.続いて,ヒト,マウスBMP-2,BMP-4,SHHcDNAの活性部位をプラスミドベクター,アデノウィルスベクターへ組み込み,ヒト,マウス口腔由来線維芽細胞に遺伝子導入を行った. 導入効率は,プラスミドベクターを用いた場合,ヒト遺伝子のマウス細胞への導入は約6%,ヒト細胞へは約4%,マウス遺伝子のマウス細胞への導入は約8%,ヒト細胞へは1%以下であった. アデノウィルスベクターを用いた場合,ヒト遺伝子のマウス細胞への導入は約30%,ヒト細胞へは約27%,マウス遺伝子のマウス細胞への導入は約46%,ヒト細胞へは10%以下であった. 遺伝子導入した細胞だけを単離し,ALP活性,オステオカルシン活性についてELISAを用いて検討した.遺伝子導入前後の細胞を比較すると,ALP活性,オステオカルシン活性は経時的に上昇が見られた. 遺伝子導入前後の細胞を位相差顕微鏡で形態を比較すると,線維芽細胞の紡錘形から敷石状の細胞への変化,石灰化の凝集が観察された.また,本年度予算で購入した落射蛍光顕微鏡を用いたBMP-2,BMP-4,SHH抗体を用いた蛍光免疫組織化学染色では,遺伝子導入後の細胞で各抗体に対する陽性反応が認められた. BMP-2,BMP-4,SHHプラスミドベクターを遺伝子導入した細胞を大量培養し,ゼラチンカプセル内に細胞を封入し,ヌードマウス大腿部皮下へ移植したところ,軟X線写真で石灰化が確認でき,摘出組織のトルイジンブルー染色では軟骨のメタクロマジーとともに軟骨内骨化誘導が確認された. 今年度は,マウスにおける筋皮弁モデル,血管柄付き筋皮弁モデルを作製し,皮弁部に遺伝子組み込みプラスミドベクター,アデノウィルスベクターを直接注入し,硬組織形成について検討を行う予定である.
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