2003 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面領域へのBMP、SHH遺伝子を用いた遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
13470430
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00151803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 宇 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (60332699)
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Keywords | BMP(Bone Morphogenetic Protein) / SHH(Sonic Hedgehog) / 骨 / 軟骨 / プラスミドベクター / 筋弁 |
Research Abstract |
今年度は、大胸筋、浅殿筋、大腿二頭筋の筋弁にBMP、SHH遺伝子導入された細胞の移植、同様の筋弁にBMP、SHH遺伝子の直接遺伝子導入実験を行った。 大胸筋、浅殿筋、大腿二頭筋に、マウスBMP-2、BMP-4、SHHcDNA挿入プラスミドベクター遺伝子導入細胞をゼラチンカプセル内に封入し、筋弁中央部に移植したところ、移植10日後にはいずれの遺伝子導入細胞移植組織においても軟X線写真で看灰化が確認でき、摘出組織のトルイジンブルー染色では軟骨のメタクロマジーとともに軟骨内骨化誘導が確認された。しかしながら骨軟骨形成部位は担体ゼラチンカプセルを移植した範囲に限定されていた。 また、大胸筋、浅殿筋、大腿二頭筋に、マウスBMP-2、BMP-4、SHHcDNA挿入プラスミドベクター遺伝子をマイクロバブルと混合、1mlシリンジにて筋弁内に注入し、直上より超音波刺激による遺伝子導入を施行した。遺伝子導入14日後にはいずれの遺伝子導入部位においてもわずかながら軟X線写真で石灰化が確認でき、骨軟骨組織形成がトルイジンブルー染色で確認された。骨軟骨形成は細胞移植による形成範囲に及ばず、極めて狭い範囲であった。 本研究においてBMP遺伝子、SHH遺伝子を組み込んだベクター導入細胞移植、直接遺伝子導入のいずれにおいても移植筋の骨軟骨への転化という現象が確認された。しかしながら、今回研究対象としたドナー、レシピエントは伴に免疫反応を考慮する必要の少ないヌードマウスであり、今後の研究課題として免疫反応に対する対策、研究が必要である。また、遺伝子を運ぶベクターの設計、高効率な遺子導入方法、直接遺伝子導入における遺伝子拡散のコントロールなど研究課題は多い。本研究結果が今後、臨床応用研究へと発展することを期待するものである。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 上田 実: "幹細胞と遺伝子を用いた骨の再生医療"炎症と免疫. 23・5. 262-268 (2003)
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[Publications] 上田 実: "再生医療の実用化と産業移転"Surgery Frontier. 10・3. 49-54 (2003)
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[Publications] 上田 実: "再生医学の現状と展望"日本歯科医学会誌. 22. 86-91 (2003)
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[Publications] 上田 実: "再生医療の現状と口腔外科領域への応用"日本口腔外科学会雑誌. 49・8. 491-500 (2003)
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[Publications] 上田 実: "再生医療の現状と歯科領域への応用"日本臨床歯周病学会会誌. 21. 5-16 (2003)
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[Publications] Ueda M: "Maxillofacial bone regeneration using tissue engineering concepts"Dentistry in Japan. 39. 199-207 (2003)
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[Publications] Ozawa R, Yamada Y, Nagasaka T, Ueda M: "Acomparison of osteogenesis-related gene expression of mesenchymal stem cells during the osteoblastic differenciation induced by type I collagen and / fibronectin"Int J Oral-Med Sci. 1・2. 139-146 (2003)
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[Publications] Yamada Y, Boo JS, Ozawa R, Nagasaka T, Okazaki Y, Hata K, Ueda M: "Bone regeneration following injection of mesenchymal stem cells and fibrin glue with a biodegradable scaffold"J Cranio-Maxi Surg. 31. 27-31 (2003)