2001 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌内部環境下に発現するHIF-1αのを分子標的とした治療法に関する基礎的検討
Project/Area Number |
13470433
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松村 智弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00028747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目瀬 浩 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40325098)
佐々木 朗 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00170663)
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Keywords | 口腟扁平上皮癌 / 固形癌内部環境 / 低酸素環境 / 分子標的治療 / HIF-1α |
Research Abstract |
本研究では、固形癌内部環境に発現するHIF-1αが細胞増殖、血管新生及びアポトーシス調節機構にどのように関与するかを明らかにし、口腔癌に対するHIF-1αを標的とした分子標的治療の可能性を追求する。本年度は固形癌内部の低酸素環境に対する細胞応答を、口腔癌における低酸素条件下でのHIF-1αの発現量及び発現時期、HIF-1αと細胞周期調節因子、血管新生因子との関係を基礎的に検討する。 1)各種ヒト口腔扁平上皮癌細胞株における低酸素環境下での細胞動態の解析 a)低酸素環境下(0.5-20% O_2)で各種ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2,HSC3,HSC4,KB, T3M1,KOSC3,SAS, HO1-u1)を培養し、経時的にタンパクを抽出しWestern Blotting法にてHIF-1αの発現を検討した。その結果酸素分圧10%以下でHIF-1αタンパクの発現が認められ、経時的タンパク発現の検討においては低酸素環境下6時間後から72時間後までHIF-1αタンパクが発現していた。 b)各種ヒト口腔扁平上皮癌細胞株を1%O_2、20%O_2条件下に培養し、トリパンブルー色素排除法にて細胞倍加時間を検討した。その結果低酸素環境下において細胞倍加時間は約2倍延長していた。また、フローサイトメトリーによる細胞周期解析においては、低酸素環境下でG2/M期に集積する傾向が認められた。 2)各種ヒト口腔扁平上皮癌細胞株におけるHIF-1αと細胞周期調節因子及び血管新生因子との関係の検索 1)の結果よりHIF-1α発現量に差が認められた高発現細胞株(HSC2,HSC3,HSC4,)、低発現細胞株(KOSC3,HO1-u1)をスクリーニングし、低酸素環境下(1%O_2)でのそれぞれの細胞株の細胞周期調節因子(p53,p21)、血管新生因子(VEGF)をWestern Blotting法にて経時的に検討した結果、細胞周期調節因子(p53,p21)に明らかな差は認められなかった。血管新生因子(VEGF)は、HIF-1α高発現細胞株ではHIF-1αが発現する低酸素環境下6時間後と同時もしくはやや遅れてVEGFのタンパク誘導が認められた。 以上の結果を踏まえて次年度は、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株における低酸素環境下での化学療法の効果について検討を行い、HIF-1αを標的とした分子標的治療の可能性を追求する。
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