2003 Fiscal Year Annual Research Report
加齢によるグルタミン酸、GABA神経系の変化が、麻酔の眠り、覚醒に与える影響
Project/Area Number |
13470438
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鮎瀬 卓郎 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (20222705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡安 一郎 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80346923)
坂本 恵美 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70346922)
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Keywords | 加齢 / 中枢神経 / グルタミン酸 / 全身麻酔 |
Research Abstract |
本研究は,加齢により変化する中枢神経系の変化が,全身麻酔薬によってもたらされる,眠り,覚醒にどのような影響を与えるかを検討する研究である.研究最終年度である本年は,24時間連続運動解析システムを使用して、ラットの麻酔薬による眠り・覚醒を定量的に検討した。実験動物であるラットは、若年群(8週齢)と高齢群(18ヶ月齢)に分け,赤外線感受性のあるCCDカメラによる昼夜連続の運動量(移動量)の測定と、脳波の周波数解析を行った.麻酔薬はケタミン(50mg/kg)、プロポフォール(100mg/kg)を使用し、麻酔前日(24時間)を含めて、麻酔中、麻酔覚醒後(24時間)の全行動解析を、脳波解析を行った。 その結果,若年群、高齢群ともにプロポフォールを用いた全身麻酔より,ケタミンを用いた麻酔の方がnon-REM睡眠の出現率が高く,また覚醒後の運動量も有意に多いことが分かった.また、ケタミンの麻酔覚醒後の運動量は、高齢群で著しく大きくなる傾向が認められ、時に異常な興奮状態を呈した。臨床では、65才以上の高齢者が全身麻酔を受ける際に、唾眠障害、術後譫妄の発生頻度が大きくなることから、加齢による脳内伝達物質の変化と、麻酔薬による強制的な唾眠状態がサーカディアン・リズムの変化をきたし,術後の自然唾眠の眠り・覚醒までにも影響を与える可能性が示唆された。現在、グルタミン酸、GABA受容体拮抗薬などを使用して、メカニズムの解明のため詳細な実験を続行中であり、さらなる成果が期待できる。
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