2001 Fiscal Year Annual Research Report
剛直な三環性架橋構造を有する不斉補助基の創製と触媒的不斉反応への応用
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13470467
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90117846)
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Keywords | 不斉単座ホスフィン配位子 / 三環性架橋構造 / 触媒的不斉合成法 |
Research Abstract |
近年、触媒的不斉合成法が著しく進歩したが、その応用範囲は未だ限られ、依然として革新的な不斉触媒反応系の構築が必要とされている。そのためには立体化学制御能だけではなく、触媒の反応性の制御や触媒回転を含めた不斉触媒の包括的な分子設計が必要である。我々はこれまで不斉単座ホスフィン配位子の開発研究を進め、単座ホスフィン配位子9-PBNの合成に成功している。立体制御能をより高めた配位子の開発を目指して9-PBNで成功した分子設計を一部受け継いだ1,8-ジアザ-3-オキサ-2-ホスファトリシクロ[4.4.0.02,8]デカン構造と3,6-ジアザ-7-ホスファトリシクロ[4.3.0.03,7]ノナン構造を基本構造とする新しい剛直な三環性架橋構造の配位子の合成を計画した。 まずはじめにこれらの合成を検討した。市販のフェニルグリシンとアスパラギン酸ジエチルエステルからジペプチドを常法により合成し、これのN保護基を除去した後ジケトピペラジン化を検討した。この反応では一部エピメリ化が進行した。精製後、過剰のフェニルリチウムでアルキル化すると第3級アルコール体が得られる。このアルキル化反応でもエピメリ化が進行し、室温まで温度を上げると1:1の混合物となることが解った。-30・C以下の低温ではエピメリ化を押さえることが出来たが反応は遅く、現在迄のところ低収率である。 次に三環性架橋構造が出来るかを検討した。ボラン還元によりピペラジン誘導体を得た後、トリスジメチルアミノホスフィン(P(NMe_2)_3)との交換反応を検討した。トルエン中P(NMe_2)_3と加熱し、ボランで処理すると目的の三環性架橋構造のポスホロアミダイトをボラン錯体として取り出すことが出来た。まだ精製と途中段階でのエピメリ化に問題があり、大量合成には至っていない。また、ボランを外すところは検討中である。 配位子が出来次第、遷移金属を用いる不斉合成反応の検討へ移る予定である。
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