2003 Fiscal Year Annual Research Report
剛直な三環性架橋構造を有する不斉補助基の創製と触媒的不斉反応への応用
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13470467
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 康正 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90117846)
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Keywords | 不斉触媒反応 / 不斉配位子 / ホスホロアミダイト / アスパラギン酸 / キラルトリアミン / ジアミノホスフィンオキシド / 遷移金属 |
Research Abstract |
本研究では剛直な三環系架橋構造を土台とする不斉配位子の分子設計と合成を中心とする新規不斉触媒反応系の開拓を検討する。基本となる土台に剛直な構造の3,6-ジアザ-7-ホスファトリシクロ[4.3.0.03,7]ノナンと1,8-ジアザ-3-オキサ-2-ホスファトリシクロ[4.4.0.02,8]デカンを選び、これらの上に芳香環を適当な位置に立てることにより、遷移金属がすっぽりはまり込むほどの大きな不斉空間を持つ分子を創製する。剛直な三環系架橋構造を合成する前により簡単な二環系架橋構造1,3,8-トリアザ-2-ホスファビシクロ[3,2,1]オクタン骨格を持つ不斉配位子をまず検討した。アスパラギン酸から出発してキラルトリアミンを合成し、3塩化リンと反応させたところ目的のホスホロアミダイトを得ることに成功した。このものは弱酸性条件下に容易に加水分解反応を受け、ジアミノホスフィンオキシドを与えることが分かった。この分解反応ではリン原子上でSN2型の反応により立体選択的に反応が進行し、リン原子上に不斉中心を有するジアミノホスフィンオキシドが得られていることがX線解析から明らかになった。ここで得られたジアミノホスフィンオキシドが不斉配位子として機能するかを種々の条件で試したところビストリメチルシリルアセトアミド(BSA)、パラジウム存在下では不斉アリル位置換反応が高い選択性で起こることがあきらかなった。このように5価のリン酸アミドであるジアミノホスフィンオキシドが不斉配位子として機能することをはじめて発見した。この反応を不斉4級炭素構築法に適用し、環状のβ-ケト酸エステルとシンナミルアセテートを用いた反応で92%ee前後の高い不斉合成が起こることを見つけ、報告した。この反応は従来の反応と比較し、基質一般性、エナンチオ選択性に優れている。現在、このジアミノホスフィンオキシドを用いた不斉反応の開拓を検討している。また、剛直な三環系架橋構造を持つものについても検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Tetsuhiro Nemoto, Takayoshi Matsumoto, Takamasa Masuda, Tsukasa Hitomi, Keiichiro Hatano, Yasumasa Hamada: "P-Chirogenic Diaminophosphine Oxide : A New Class of Chiral Phosphorous Ligands for Asymmetric Catalysis"J.Am.Chem.Soc.. 130. 3690-3691 (2004)