2001 Fiscal Year Annual Research Report
排出トランスポーター機能変動による胆汁うっ滞発症機構の解析
Project/Area Number |
13470484
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 洋史 東京大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80206523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正田 純一 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90241827)
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Keywords | トランスポーター / MRP2 / MRP3 / BSEP / 胆汁うっ滞 / 胆汁酸 / 胆汁排泄 / 内在化 |
Research Abstract |
胆汁うっ滞を発症および防御機構について、特にABCトランスポーターに着目した検討を進めた。硫酸抱合型胆汁酸などの多剤耐性関連蛋白2(MRP2/ABCC2)基質は、MRP2により胆汁中へと排泄された後に、胆汁側から胆汁酸排出トランスポーター(BSEP)機能をtrans-inhibitionし、胆汁うっ滞を惹起するという仮説が提唱されている。この仮説についてin vivo実験により検討を加えた。すなわち、正常ラットおよびMRP2欠損ラット(Eisai hyperbilirubinemic rat)に硫酸抱合型胆汁酸を投与したところ、正常ラットにおいてはBSEP機能が低下したのに対して、MRP2ではBSEP機能低下は観察されなかった。これらin vivo結果は、MRP2基質によりBSEP機能がtrans-inhibitionされることを示唆するものと考えられた。一方、MRP3は肝細胞血管側膜上に発現され、ラットにおいては胆汁酸をも基質とすることから、胆汁うっ滞・黄疸等の病変に対して防御的に働くものと考えられる。その観点から、ヒトにおけるMRP3の機能解析を行った。その結果、種々リガンドに対する輸送能力の順位は、ラットMRP3と同等であることが示された。しかしながら、ラットで良好な基質となるtaurocholateは、ヒトでは有意に輸送されず、一方ヒトではglycocholateが良好な気質となる等、種差が存在することが示された。病態において濃度が上昇し、細胞毒性の高いことが知られている疎水性胆汁酸が、本実験系においてMRP3機能を阻害したことから、これらの胆汁酸もMRP3基質となりうる可能性も考えられた。また、ラットを用いた肝潅流実験の結果、MRP3の発現量と、血管側膜を介した胆汁酸の排出能力の間には良好な相関が観察され、病態肝からの胆汁酸排出・肝細胞保護におけるMRP3の役割の定量化に成功した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Akita, et al.: "Transport activity of human MRP3 expressed in Sf9 cells : Comparative studies with rat MRP3"Pharm.Res.. 19. 34-41 (2002)
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[Publications] J.Shoda, et al.: "The expression levels of plasma membrane transporters in the cholestatic liver of patients undergoing biliary drainage and their association with the impairment of biliar secretory function"Am.J.Gastroenterol.. 96. 3368-3378 (2001)
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[Publications] Y.Asamoto, et al.: "Bile-salt hydrophobicity is a key factor regulating rat liver plasma-membrane communication : relatio to bilayer structure, fluidity and transporter expression and function"Biochem.J.. 359. 605-610 (2001)
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[Publications] J.Shoda, et al.: "Etiologic significance of defects in cholesterol, phospholipid, and bile acid metabolism in the liver of patients with intrahepatic calculi"Hepatology.. 33. 1194-1205 (2001)
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[Publications] H.Akita, et al.: "Efflux of taurocholate is enhanced in Mrp2-deficient rat liver"Pharm.Res.. 18. 1119-1125 (2001)