2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性肝疾患における肝細胞アポトーシスと発癌の機序の解明と細胞移植治療の研究
Project/Area Number |
13470508
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
遠藤 文夫 熊本大学, 医学部, 教授 (00176801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 公俊 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (30336234)
犬童 康弘 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (40244131)
山本 哲郎 熊本大学, 医学部, 教授 (60112405)
加藤 秀樹 浜松医科大学, 助教授 (30142053)
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Keywords | 肝細胞 / アポトーシス / 発ガン / 細胞移植 / 幹細胞 / 遺伝子発現 / 遺伝子チップ / 遺伝性疾患 |
Research Abstract |
肝細胞障害と肝細胞癌を特徴とする遺伝性高チロシン血症1型に注目して、そのマウスモデルを作成して、細胞障害と発癌の関係についての研究を進めてきた。これまでの研究の結果、本疾患においては肝細胞の死がアポトーシスによってもたらされることが判明した。そこでまず今年度の本研究では研究計画にしたがって(1)モデルマウスを用いた遺伝子発現の異常に関する網羅的な検討を行った。次に、(2)本疾患モデルマウスにおいて肝細胞移植による細胞置換の試みを行った。 (1)遺伝子発現の変化に関する観察では、本マウスの肝臓に急激なアポトーシスを生じるシグナルを細胞内で発生させた際のmRNAをgene chipをもちいて調べた。その結果、糖代謝、アミノ酸代謝に関連した遺伝子軍の発現が強く抑制される。とくに、糖新生系に関与するPEPKやS-アデノシルメチオニンメチル基転移酵素の発現が低下していた。さらに肝臓特異的転写調節因子の発現も低下していた。これらのことから、本疾患において生じるアポトーシスでは、肝特異的酵素群の活性が著しく低下し、これが臨床症状の発生に関連していると考えられた。 (2)肝細胞移植による肝臓の置き換えではNTBC存在下で生存させたFAH欠損マウスに、対照マウスから採取した肝細胞を移植し、NTBCの除去をおこなった。NTBCの除去によって細胞死が生じるが、これと平行して移植した細胞が増殖するのが確認された。この方法を進めることで、肝細胞の幹細胞の同定をはかることが可能になった。 (3)その他肝細胞へ分化可能な幹細胞の同定をすすめている。上述のNTBC-FAH系を用いて、マウス内胚葉系幹細胞の可能性を有する細胞を同定した。この細胞を用いて、遺伝性肝疾患の治療研究をさらに進める予定である。
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