2002 Fiscal Year Annual Research Report
深夜保育所の保育環境整備に関する研究―保育内容から見た空間の機能分析による保育環境のあり方―
Project/Area Number |
13480023
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
北浦 かほる 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (30047211)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 美智子 大手前女子短期大学, 生活文化学科, 講師 (10331711)
|
Keywords | 夜間保育所 / 保育室 / 夜間室 / デンマーク / イタリア / 韓国 / 乳児保育所・幼児保育所 / 移動保育園 |
Research Abstract |
本年は海外の夜間保育所の保育施設の実態を追究することを目標に研究計画をたてた。 1)韓国の公立夜間保育所の保育施設の特徴に関する研究。2)デンマークの夜間保育園の事例研究。3)イタリアの夜間保育園の事例研究が目的である。韓国のソウル市には現在65余の夜間保育所が存在する。その中でもレベルの高い17の公立保育所の実態について、漢陽大学教授・申京珠氏と共同研究を実施した。親の職業から保育園利用者層の上下で、階層的な格差が見られた。どの保育園でも教育的保育プログラムが重視され、自由遊びの時間が少ないという特徴が見られた。保育室の規模や設置基準は日本の基準が参考にされていた。寒地型の韓国の建築特性上、ホール型の平面計画が大半を占めていた。専用の夜間室が設置されているケースは少なく、屋根裏や部屋の継ぎ足しによるものなど狭くて不十分なものが多くみられた。また、地下空間が遊戯室や食事室として多用されていたが、園庭をもつ施設は少なかった。屋外の遊び空間としては、人工芝を敷いた屋上階に大型遊具が設けられており、部屋の内外空間のつながりは無視されていた。 欧米では家庭保育の伝統が強く夜間に子どもを家庭外の施設に預けることに抵抗があり夜間保育所の存在そのものが少ない。デンマークの保育施設の起源は19世紀後半にかけて設けられた慈善施設に由来し、社会サービス法では児童のデイケアのために必要な施設の設置をコムーネに義務づけている。保護者の大半が就業しているデンマークでは保育施設の完備が求められ、近年の母親の職業の多様化により厚生省が夜間保育所の必要性を認め、この10年の間に24時間保育所が現在4〜5ヶ所設置されている。またイタリアのレッジョエミリア市では公立保育園で子どもの創造性を伸ばす教育理念が実践されており、明暗2種のアトリエ空間など保育空間のあり方が重視されている。デンマークの夜間保育所2ヶ所昼間保育所他11件、イタリアのオアジ・トーテム他3件を訪問し、施設長へのインタビューを行った結果をもとに夜間保育システムや「移動保育園」「森の幼稚園」など昼間保育における施設利用の方法も含めて事例研究を行い、保育環境に向けて学ぶべき点を追究した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 北浦かほる, 萩原美智子: "保育環境としての遊び空間のあり方-夜間保育所の保育環境整備に向けて-"日本建築学会計画系論文報告集. NO.563. 139-146 (2003)
-
[Publications] 北浦かほる, 萩原美智子他2: "保育環境としての子どもの生活空間の検討-夜間保育所の保育環境整備に向けて(2)-"日本建築学会計画系論文報告集. NO.568. (2003)
-
[Publications] 北浦かほる: "施設利用形態から見た海外の保育所の事例研究"日本家政学会第55回研究要旨集. 227 (2003)
-
[Publications] 北浦かほる, 萩原美智子: "デンマークにおける夜間保育所の事例研究"日本建築学会近畿支部研究報告集. 第43号. (2003)
-
[Publications] 北浦かほる, 萩原美智子: "イタリアにおける夜間保育所の事例研究"日本建築学会近畿支部研究報告集. 第43号. (2003)
-
[Publications] 北浦かほる, 申京珠他1: "韓国の公立夜間保育所の特徴"日本建築学会近畿支部研究報告集. 第43号. (2003)