2002 Fiscal Year Annual Research Report
冷温帯樹種を用いた東北・北海道における年輪年代学的手法の確立
Project/Area Number |
13480029
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野田 真人 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (00101238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 要 中央大学, 文学部, 教授 (70229285)
野堀 嘉裕 山形大学, 農学部, 教授 (80237867)
鈴木 三男 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (80111483)
加藤 輝隆 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (80115162)
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Keywords | 年齢解析 / 年齢年代学 / ヒバ / 考古学 / 国際研究者交流 / 韓国 / 年代決定 |
Research Abstract |
平成14年6月に北海道森林管理局函館分局の協力を得て、北海道南部の檜山郡厚沢部町にある国有林からヒバ生立木から円盤を採取し、この地方の約260年間のヒバ標準年輪系列を作成した。さらに、この標準年輪系列の信頼性を確認するため、檜山郡上ノ国町教育委員会の協力を得て、同町にある重要有形文化財「旧笹波家」民家建築の解体時に生じたヒバ柱材の端材を用いて、建築年代の推定を行った。江戸時代の民家では、建築年代の記述がない場合が一般的である。「旧笹波家」も建築年代が判明しておらず、ヒバ柱材の試料2本の推定を試みた。同柱材は角柱であるため辺材部が削り取られており、建築の推定年代は、正確に特定することができない試料のパターンである。しかし、辺材率を用いることにより、誤差を伴うが推定が可能であった。その結果、柱材の伐採年は約1774年から1793年と推定された。 平成14年11月に東北大学理学部附属植物園において、全体会議が開催された。そこでは、今年度の進捗状況と今後のスケジュールが論議され、各分担者の役割が再確認された。特に、12月初旬に実地調査をする青森県産ヒバ生立木および遺跡から出土する遺物調査の打合わせが行われた。 これを受けて、12月に青森県津軽半島の調査を行い、その後、下北半島の猿ヶ森埋没林の試料が追加された。現在、青森県高野川遺跡の試料と十三湊遺跡、猿ヶ森埋没林の試料を計測中である。具体的には、高野川遺跡が野田(北大)、十三湊遺跡が野堀(山形大)、加藤(富山医薬大)、猿ヶ森埋没林が鈴木(東北大)が分担し、時系列年輪系列を作成する作業に取りかかっている。これらの結果は、次年度の生立木調査の結果と対比され、最終年度の研究結果に報告される予定である。 尚、韓国の研究者との共同研究では、慶尚大学および韓国南部林業研究院の研究者2名が11月の全体会議と打合せに参加し、韓国産クロマツ約80個体の試料を解析中であり、日本産クロマツとの対比を計画中であると報告された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] David J.Benis, Kenicho Satake, Masato Nosa, et al.: "Evaluation of the historical records of lead pollution in the annual growth rings and bark pockets of a 250-year-old Quercus crispula in Nikko, Japan"The Science of the Total Environment. 295. 91-100 (2002)