2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13480031
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
宇田川 武久 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 教授 (70104750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小瀬戸 恵美 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助手 (80332120)
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助教授 (50205663)
杉山 晋作 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (30150022)
原田 一敏 東京国立博物館, 上席研究員 (20141989)
朝岡 康二 沖縄芸術大学, 学長 (60072162)
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Keywords | 火縄銃 / 鉄炮 / 介在物 / 走査型電子顕微鏡 / 金属組織 / 製作技法 / 卸 / 弾速 |
Research Abstract |
刀剣・鉄炮の刀身・銃身の鉄部分に用いられた製作技術について、文献と実資粗の調査から地域、流派、時代による相違を調べた。自然科学的分析としては地金部分の介在物、金属組織の分析と弾速測定を行った。主な成果は次の通りである。1)介在物が引き延ばされた方向から、文献にみえる主要な2つの銃身製作法である「うどん張」と「巻張」によって作られた銃が検出できた。2)鎌炮(火縄銃)と刀剣では、介在物組成に大きな相違があり、異なる材質の鉄が使用されていることがわかった。ただし、分析資料中、刀鍛冶の製作した鉄炮と刀はどちらも刀剣の素材、鉄炮鍛冶が製作した鉄炮と刀ではどちらも鉄炮の素材が使用されていた。これらから、鉄炮鍛冶と刀鍛冶では材料調達および製作技法の面で相違があり、本業以外の製品を作る際にも材料の使い分けはしていなかった可能性がある。3)鉄炮と刀の材質の相違について考察を加えるために、伝統技法として行われている「卸」「折返し鍛練」を実施し、刀鍛冶が伝えている技術によって、炭素濃度の調節が比較的容易にできることがわかった。4)幕末頃に西洋で製作された鉄炮では、介在物自体が圧倒的に少ないうえに、鉱物組成も日本のものとは異なる、高炉製鉄の特徴をもった鉄が使用されていた。5)尾栓ネジについて非破壊で断面形状を知る方法を開発し、雄ネジと雌ネジのネジ山の高さと角度について調べた。6)外国渡来の鉄炮(南蛮筒)とその秘伝書の調査から、鉄炮伝来について、「種子島への鉄炮伝来」は他にも数多くあった渡来の一事例にすぎないことを明らかにした。7)文献の記述の妥当性を検証するために、3種類の玉目(弾丸重量:口径と関係がある)の火縄銃で、それぞれ火薬量を変えて射撃し、弾速測定を行った。今後、爆発持続時間の測定や銃身長と弾速・運動エネルギーとの関連性などについて検討する必要があることがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 宇田川武久: "鉄炮にみる南蛮文化の到来"歴史学研究. 785. 2-10 (2003)
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[Publications] 宇田川武久: "炮術史からみた鉄炮の伝来"特別展「日本の砲術-和流砲術から西洋流砲術へ-」展示図録. 68-72 (2004)
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[Publications] 宇田川武久: "豊後佐伯藩旧蔵鉄炮類の歴史的意義"毛利家資料調査報告書. 79-98 (2003)
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[Publications] 齋藤努, 高塚秀治, 宇田川武久: "材質からみた火縄銃の製作技法-仙台藩などの事例を中心に-"日本文化財科学会第20回大会研究発表要旨集. 20. 118-119 (2003)
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[Publications] 齋藤 努, 宇田川武久: "鉄炮の材質と製作技術"特別企画『歴史を探るサイエンス」展示図録. 39-44 (2003)
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[Publications] 齋藤 努: "鉄炮の材質と製作技法の自然科学的調査"特別展「日本の砲術-和流砲術から西洋流砲術へ-」展示図録. 73-76 (2004)