2004 Fiscal Year Annual Research Report
幼児・児童の国際的な『百のことば』とニューメディアを活用した多面的表現活動の研究-聖和大学プロジェクト・アイとハーバード大学プロジェクト・ゼロの比較を軸に-
Project/Area Number |
13480065
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
玉置 哲淳 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50116167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 ミチコ 聖和大学, 教育学部, 教授 (90170951)
瀧川 光治 樟蔭東女子短期大学, 生活学科, 専任講師 (40340939)
二見 素雅子 大阪キリスト教短期大学, 幼児教育学科, 助教授 (90310672)
鳥越 信 聖和大学, 教育学部, 教授 (00063446)
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Keywords | 子ども / レッジョ・エミリア / 表現 / パソコン画 / 口頭詩 / 定型詩 / ニューメディア / 国際交流 |
Research Abstract |
本研究は,日本における表現(定型詩・口頭詩)の独自性を方向付けようという意図を持って取り組んだ研究である。それは,単にレッジョ・エミリア保育を模倣するのではなく,ニューメディアを使う発想とも結合させて,心の声をも含む多面的な表現活動に関する研究である。4年間の研究を進める上で,下記の実績を残した。1)WABページ・メーリンリストによる交流 2)ハーバード大学プロジェクト・ゼロ研究を含め国際的な共同研究としては2003および2004年度に玉置・石垣(前研究代表者)を中心としてNAEYC(米国幼児教育学会)等にて討議を行った。3)子どもとニューメディアおよび詩歌的表現の研究実験として,(1)聖和大学大学院にパソコン画と詩歌(韻文詩)の実験室を設け、週1回、子ども(幼児、小学生)を集めて実験を行った。(2)大阪府下の保育所を中心として口頭詩の収集を定期的に行い、分析を行った。 それを踏まえて最終報告書では,第1部「本研究のねらい」,第2部「ニューメディアを用いた表現活動」,第3部「定型詩と子どもの表現の可能性」,第4部「子どもの心の声としての口頭詩の可能性-レッジョ・エミリア保育との比較を軸に-」,第5部「まとめと課題」,および資料(定型詩・パソコン画資料,口頭詩資料)として「日本における表現(定型詩・口頭詩)の独白性」について論じてきた。 日本における表現の独自性の研究は,1つ目として,短歌を幼児・児童が作るという未踏の発想を基にした研究がある。そこでは,子どもたちが音声としてそのリズムを持っているのではないかという仮説,子どもたちが繰り返し描くことが可能なニューメディアを使用することで子どもの思いとリズムを引き出せるのではないかという仮説をもとに研究を進めた。描画プロセスの中で生まれる韻律を持った詩歌的表現の分析を中心として行った。2つ目は,生活つづり方の流れを踏まえた日本独自の口頭詩の発想を基にした研究である。これは子どもが自らの生活や自分自身の表現を大人が採集し保育に生かそうという発想である。そして,私たちが意識する以上の子どもの独自の言語表現があり,それは,結果として優れた自由詩として評価されるものもあり,レッジョ・エミリア保育でいう表現とは相互補完的な側面があることを示した。アメリカ等で関心が深いことを考慮して、英語要約版を作成した。
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