2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480092
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
東条 敏 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90272989)
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Keywords | オントロジー / ソート論理 / 様相論理 / 時相論理 / 区間論理 / 複様相論理 |
Research Abstract |
本年度はプロジェクトの最終年度として, (i)時間と否定概念を含むソート階層をオントロジーとして理論化する研究,および (ii)時相と時区間を含む複様相論理の研究 を行った.(i)まずオントロジーとはその分野で用いられる用語・概念をお互いの関係とともに記述した知識ベースである.すなわち構築されたソート階層がそのまま他の研究のための知識ベースとして供与されたときの呼称である.われわれはこれまで時間概念と複数否定を含むソート階層を研究してきたが,それが実用に供する可能性のある知識ベースとして働くためには,次のような現実上の問題を考慮する必要がある.まず第一に,知識ベースはそもそも分散して存在するために,どの知識ベースからどの知識ベースがアクセスできるかの制限がある.これはそのまま可能世界のアクセス関係として考えることができるために,われわれはソート論理を組み込んだ様相論理を提案し,その枠組みの中でオントロジーに関する理論を構築した.第二に,こうした分散知識ベースにおいては,同一概念が異なる名前で呼ばれている可能性がある.われわれは概念の同一性を検証するために各概念に固有の同一性条件(identity condition)なる関数に着目し,それら関数が同一の値を取ることで概念の同一性を発見するメカニズムを提案した.(ii)次に時相と時区間を含む論理では,従来の時間の論理のように時間の前後関係を主にした様相論理とともに区間としての包含をアクセス関係とした様相論理を組み合わせ,両者のオペレータが混在するような複様相論理を提案した.こうした論理の融合(fusion)が抱える問題は,複数の公理系と推論規則が混在するために決定性(decidability)が保証されなくなる可能性があることである.われわれは有限モデル性と制限されたカット除去定理を用いることでこの問題を克服し,この複様相論理の決定可能性を証明した.
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Research Products
(4 results)