2002 Fiscal Year Annual Research Report
音の分節・補完にかかわる聴覚皮質機能の光学的計測法による研究
Project/Area Number |
13480096
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
堀川 順生 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50114781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 浩 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80181501)
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Keywords | 音の補完 / 音の分節 / 複合音 / 一次聴覚皮質 / モルモット / 光学的計測 / 電位感受性色素 / 時空間的神経活動 |
Research Abstract |
母音を含む多くの音素はその周波数成分の違いにより識別されるが、b、d、gのように周波数変化の違いで識別されるものや、破裂子音のように子音と母音の時間間隔により識別されるものもある。破裂子音のbaとpaの識別境界は子音-母音間隔が35msのところにあることがヒト、サル、チンチラにおける心理物理学的分析から分かっている。このように、音素を識別するときには音の周波数情報と時間情報を分析することが必要である。神経系による周波数分析についてはこれまで多くの研究があるが、時間情報をどのように分析しているかについては分かっていない。また、音の間に雑音を挟むと雑音区間で音が補完されつながって聞こえるという現象があるが、この神経機構についても分かっていない。本研究では、音の文節および音の補完にかかわる時間情報の聴覚皮質における処理ついて、光学的計測法を用いて解析した。実験動物にはモルモットを用いた。刺激音には無音区間(gap)を含む純音(PGP)、雑音(WN)を含む純音(PWP)およびを2純音からなる複合音を用いた。PGPに対する活動はgap前の音に対するon応答(R1)とgap後の音に対するon応答(R2)とからなる。R2はgapが5-10ms以下の場合は現れず、聴覚皮質は5-10ms以下のgapは検知していないこと(検知閾)が示唆された。またgapを音の開始から20msの位置に挿入した場合、検知閾は40msであった。PWPに対する活動を見ると、WNの区間が100msの場合でもR2が抑制されることが分かった。R2の活動がgap検知を示しているとすると、この現象は音が切れていることが検知できなくことを表し、この機構が音の補完に関係する可能性が示された。また、複合音に対する活動から、AIは周波数が近く(0.6-0.8オクターブ以内)時間的に近い(10-15ms以下)音をグループ化し、周波数的・時間的に遠い音を分離する傾向にあることが分かった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sugimoto, S., Hosokawa, Y., Horikawa, J., Nasu, M., Taniguchi, I: "Spatial focusing of neuronal responses induced by a synchronous two-tone stimuli in the guinea pig auditory cortex"Cerebral Cortex. 12. 506-514 (2002)
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[Publications] 堀川順生: "電位感受性色素による聴覚皮質活動の解析"第16回日本エム・イー学会秋季大会論文集.生体医工学. 40 Suppl.2. 169-170 (2002)
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[Publications] Sugimoto, S., Hosokawa, Y., Horikawa, J., Nasu, M., Taniguchi, I: "Optical recordings of auditory cortical responses induced by a synchronous two-tone stimuli"Jpn. J. Physiol.. 52 Suppl.. S151 (2002)
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[Publications] Ohta, M., Hatta, T., Horikawa, J., Taniguchi, I: "Optical imaging of of response patterns to pure tones, white noise and clicks in primary and higher auditory cortex of guinea pigs"Jpn. J. Physiol.. 52 Suppl.. S151 (2002)
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[Publications] Hosokawa, Y., Horikawa, J., Nasu, M., Taniguchi, I: "Electrophysiological study of neural activity to azimuthal sounds in multiple auditory cortical fields of guinea pigs"Jpn. J. Physiol.. 52 Suppl.. S152 (2002)
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[Publications] 細川浩, 窪田道典, 谷口郁夫, 堀川順生: "モルモット聴覚皮質における両耳応答の光学計測-中心領域と周辺領域の比較-"日本音響学会聴覚研究会資料. 32:9H-2002-81. 521-525 (2002)