2001 Fiscal Year Annual Research Report
正孔―アクセプタの励起を用いた極低温半導体放射線検出器における正孔供給法の研究
Project/Area Number |
13480146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神野 郁夫 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50234167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 秋男 京都大学, 工学研究科, 教授 (90243055)
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Keywords | 正孔-アクセプタ励起 / 極低温 / 放射線検出器 / 半導体 / エネルギー分解能 |
Research Abstract |
アクセプタであるホウ素に正孔を供給するため,高ホウ素濃度シリコン(H-Si)を低ホウ素濃度シリコン(L-Si)に貼りあわせた.H-Si側に整流性電極を作成し,空乏層によって正孔をL-Si側に押し出し,L-Siのホウ素に捕獲させることが目的である. しかし,単に導電性接着剤でH-SiとL-Siとを接着するだけでは,空乏層がH-SiからL-Siへと広がらないのではないか,という疑問がでた.このため,薄い金属膜を介してH-SiとL-Siとを接着する方法を試みた. 用いた金属は金で,膜厚は約80μgcm^<-2>である.H-SiとL-Siとに金を蒸着し,金面同士を密着させ,圧力を数10Nmm^<-2>掛け,温度を約400度Cから600度Cに昇温し、接着を試みた.密着した様子をH-SiとL-Siとの外側の面に抵抗性電極を製作し,抵抗値を測定することで判断した.この結果,測定された抵抗値が完全に密着した場合の1/10-1/20程度であった.これは,全体の面積の1/10-1/20の面積のみが密着していることを意味している. 密着部分の面積が小さい原因として,エッチングしたSiの表面が平坦ではなく凹凸があるのではないかと考え,触針膜厚計により測定した.この結果,局所的には凹凸は1μm以下であるが,Siウエハ全体としては数μmの厚さ分布があることがわかった. 今後は,ラップ機により表面を平坦にしたのちにエッチングなどの加工を行う.また,ホウ素濃度が異なるエピタキシャル層を持つp-Siを本検出器に利用することを試みる. また,液体ヘリウム温度における測定も試みた.金を蒸着しただけの抵抗性電極は液体ヘリウム温度において抵抗性が劣化することがわかり,今後,蒸着後のシンタリング条件を検討していく.
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