2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480151
|
Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留主 泰朗 茨城大学, 農学部, 教授 (60272118)
白井 誠 茨城大学, 農学部, 教授 (10007792)
久保田 正亜 茨城大学, 農学部, 教授 (40007688)
長谷川 守文 茨城大学, 農学部, 助手 (80311588)
|
Keywords | ノニルフェノール / 環境ホルモン / スフィンゴビウム・アミエンセ / オクチルフェノール / 分解菌の環境動態 |
Research Abstract |
本年度は、次の2つの方向から研究を進めた。 1)新規ノニルフェノール分解性細菌スフィンゴビウム・アミエンセのYT株が持つ203kbプラスミドと10kbプラスミドのうち、後者のDNA全塩基配列を決定した。その結果、ノニルフェノール分解に関係する遺伝子は検出されなかったが、様々なスフィンゴモナス属細菌やスフィンゴビウム属細菌を宿主とする広宿主域プラスミドベクター系として応用できることを明らかにした。一方、203kbプラスミドについては、分離を試みたが、プラスミドが不安定であるため成功には至らなかった。 2)実際に使用されている分枝型ノニルフェノールは多様な異性体の混合物である。このことは分解酵素の特定とそれに続く遺伝子の解明の際に多くの困難を生じている。そこで、化学構造の明確なモデル物質として4-t-オクチルフェノールを選択し、その分解代謝酵素の特定と部分精製を試みた。その結果、分解の最初のステップを触媒する酵素として2種のオクチルフェノールヒドロキシラーゼの存在を明らかにした。一つは、オクチルフェノール2-ヒドロキシラーゼで、反応産物としてオクチルカテコールを生じ(カテコール型経路)、もう一つは、オクチルフェノール4-ヒドロキシラーゼで、反応産物としてヒドロキノンを生じた(ヒドロキノン経路)。両経路は、NADPHを電子供与体とする反応であり、活性の至適pHはともに8.0であった。両酵素とも細胞質画分よりも膜画分に高い活性がみられ、表在性膜タンパク質であると推定した。一つの菌株が複数のアルキルフェノール分解経路を持つことは、本研究で明らかにされた新たな知見である。この結果は、環境中でのノニルフェノールを含めたアルキルフェノール分解代謝系とその分解代謝遺伝子の多様性を示唆している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Y.Ushiba, Y.Takahara, H.Ohta.: "Sphingobium amiense sp. nov., a novel nonylphenol-degrading bacterium isolated from a river sediment"International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology. 53巻・6号. 2045-2048 (2003)
-
[Publications] 斎藤美有紀, 生長陽子, 太田寛行, 久留主泰朗: "Sphingomonas属細菌を宿主とするベクター系の開発"第19回日本微生物生態学会講演要旨集. 46 (2003)
-
[Publications] Y.Ikunaga, M.Hasegawa, Y.Kasahara, H.Ohta 他共著: "Biogeochemical Aspects of Earth System and Bioremediation of Polluted Environments"The 16th Internationa Symposium on Environmental Biogeochemistry and its OECD Session, ed. by Tsutomu Hattori Sendai, Japan. 124 (2003)