2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480155
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 款 静岡大学, 理学部, 教授 (30252159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カサレト ベアトリス 水圏科学コンサルタント, 主任研究員
山田 正俊 放射生態学研究センター, 主任研究官
山本 政儀 金沢大学, 理学部, 助教授 (10121295)
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Keywords | 放射性核種 / 有機物 / 相互関係 / 生物生産 / 有機物分解 / Pb-210,P-32,Th-234 / 分解過程 / 水槽実験 |
Research Abstract |
(1)駿河湾における定点の定期観測による有機物と放射性核種の変動の定量的関係の把握 駿河湾中央部の定点において7月と11月に2m、50m、100m、200m、500mの5層で各層100Lの海水を採取した。P-32の測定のためには2、50、100mでそれぞれポンプ採水で4000Lを採取した。これらの試料を船上に設置したふた付きの100Lのバケツで水酸化鉄沈澱を作り、放射性核種を共沈させ捕集した。この沈澱を酸で溶解し、PB-210を測定する。現在測定中である。また有機物の分離のためには100Lの海水をクリーンなPC瓶で低温に保存して実験室に持ち帰った。これらを低温室において、直ちにろ過をし、粒子態(2μm,0.4μm)と溶存態に分けた。さらに溶存態はAmiconn社製のM-12の改良型を用いて分子量1000で有機物を分離した。この濃縮液中のPb-210を測定中である。また同時に粒子態、溶存態およびコロイド有機物の炭素、窒素、硫黄を測定した。粒子態有機物中のP-32と有機炭素の間には弱い相関が認められた。 (2)陸上型メソコスムの整備と実験システムの予備調査 焼津の水産試験所内に高さ1.8m、直径1.5mのアクリル性の円筒を設置し、深層水を入れてメソコスム実験を行う準備を行った。380mから汲み上げた深層水中の硝酸塩およびリン酸塩濃度は光合成に必要な十分な量存在している。この海水を用いてラベルした炭素-13の安定同位体を加え、生物生産量と有機物のサイズおよび組成についおて検討を行った。生物生産量は8月で4mgC/m3、11月は18mgC/m3、日であった。この有機物の炭素/窒素比は粒子態で8、溶存態で11であった。本年度はこの水槽実験が十分に本研究に使えることを確かめた。円筒の大きさ、一か月程度の長時間に対応できる強度、あるいはバックの材料への吸着、サンプリングの手段、設置方法等についての検討を行い十分であることを確認した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 鈴木 款: "公共測定データーを利用した東京湾の生物生産と栄養塩動態の関係把握"沿岸海洋研究. 38. 113-119 (2001)
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[Publications] 鈴木 款: "海洋における二酸化炭素の吸収:植物プランクトンの役割"Bulliten of the plankton society of Japan. 22-33 (2001)
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[Publications] 鈴木 款: "多孔質ガラスを用いた海水中の溶存有機物の分離の検討"静岡大学研究報告. 28. 64-74 (2001)
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[Publications] カサレト ベアトリス: "海水中におけるサブミクロン粒子状物質の動態"静岡大学地球科学研究報告. 26. 71-82 (1999)
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[Publications] 山本 政儀: "炭酸塩バイオマットの放射年代測定-山梨県増富鉱泉を例として-"地質学雑誌. 107. 673-680 (2001)
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[Publications] 山本 政儀: "湖沼環境での物質循環に関する研究-琵琶湖における天然放射性核種 Pb-210とPo-210の挙動"地球科学. 35. 85-106 (2001)