2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480155
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 款 静岡大学, 理学部, 教授 (30252159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カサレト ベアトリス (株)水圏科学コンサルタント, 主任研究員
山田 正俊 放射生態学研究センター, 主任研究官
山本 政儀 金沢大学, 理学部, 助教授 (10121295)
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Keywords | 放射性核種 / 有機物 / 相互関係 / 生物生産 / 有機物分解 / pb210,P-23,Th-234 / 分解過程 / 水槽実験 |
Research Abstract |
閉鎖系500L容器(ただし培養水の循環にエアレーションを行う)を静岡県焼津水産試験場内に設置し、駿河湾深層水取水施設で採水している水深400mの海水を用いて培養を行った。培養7日で、植物プランクトンがクロロフィルα量ベースで数千から数万倍に増加した(0.01μg/L〜42.7μg/Lに増加)。この植物プランクトンの増加は、豊富な栄養塩類と適度な光、そして捕食者のほとんどいない状況によって引き起こされたと考えられた。植物プランクトンの増加に伴って生産された溶存有機物を利用し、バクテリアが植物プランクトンに遅れて増加し、従属栄養性微小鞭毛虫類(HNF)および無殻繊毛虫類がバクテリアに同調して増加した。培養7-12日目で栄養塩類(硝酸塩NO_3およびリン酸塩PO_4)が枯渇すると、植物プランクトンは急激に減少し、炭素量べースでみるとプランクトン組成におけるバクテリア、HNFおよび繊毛虫類の割合が増加した。この結果は、培養後期においては微生物食物連鎖が駆動していることを示唆している。また、植物プランクトンの増殖によって、ケイ酸塩濃度が63μmol l^<-1>から20μmol l^<-1>に減少したが、培養最終日には40μmol l^<-1>に増加した。これは、バクテリアによって珪藻類のケイ酸が溶解したことによるものであり、栄養塩類のリサイクルメカニズムについての解明に繋がるものである。 本年度の結果は、駿河湾深層水の培養を通して食物連鎖構造が潜在的な採食食物連鎖から微生物食物連鎖に移行することを示している。また同時に、深層水の培養によって出現する植物プランクトン、バクテリアおよび無殻繊毛虫類の培養生態系内における相互関係や役割についても明らかになりつつある。また、放射性核種についても興味深い結果が得られたので、十分なデータ解析の後に食物連鎖構造の変化と放射性核種の関係についても明らかになることが期待される。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 鈴木 款 他: "Phytoplankton Decomposition Process (PDP) Model Dealing with Carbon and Nitrogen Budget on Particulate Organic Matter"Journal of Chemical Enrineering of Japan. Vol.36,No.4(in press). (2003)
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[Publications] 鈴木 款 他: "油壺湾の海草藻場における有機炭素・窒素の循環"静岡大学研究報告. 29. 13-22 (2002)
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[Publications] 鈴木 款 他: "Decomposition of Phytoplankton in Sea water. Part1 : Kinetic Analysis on the Effect of Organic Matter Concentration"Journal of Oceanography. 58. 433-438 (2002)
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[Publications] 鈴木 款 他: "Import and export fluxes of HMW-DOC and LMW-DOC on a coral reef at Miyako Island, Okinawa"Coral Reef. 21. 143-148 (2002)
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[Publications] カサレト ベアトリス 他: "Particulate organic carbon budget and POC flux in a fringing coral reef at Miyako Island, Okinawa"Coral Reef. 21. 121-125 (2002)
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[Publications] 山田 正俊 他: "210Pb and 234Th in settling particles collected by time-series sediment trapsin the Okinawa Trough"Deep-Sea Research II. 50(2). 487-501 (2003)
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[Publications] 山本 政儀 他: "Some Aspect of Plutonium in and around the former Soviet Union's Semipalatinsk nuclear test site, Plutonium in the Environment(Ed.A.Kudou)"Elsevier Science Ltd. 375-399 (2001)
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[Publications] 山本 政儀 他: "湖沼環境での物質循環に関する研究-琵琶湖における天然放射性核種Pb-210とPo-210の挙動"地球科学. 35. 85-106 (2001)
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[Publications] 山本 政儀 他: "Activation of soil and Chemical reagents exposed to the neutrons released by the JCO criticality acident in Tokai-mura"J.Radiat.Res. 42. 55-74 (2001)
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[Publications] 山本 政儀 他: "The NIST natural-matrix radionuclides standard reference material program for ocean studies"J.radioanal.Nucl.Chem. 248. 227-231 (2001)