2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素の化学形態に基づいたバングラデシュの地下水ヒ素溶出機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
13480159
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
田辺 公子 宮崎大学, 機器分析センター, 講師 (00179805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 幸男 宮崎大学, 工学部, 教授 (90148916)
瀬崎 満弘 宮崎大学, 工学部, 助教授 (80136803)
横田 漠 宮崎大学, 工学部, 教授 (90037888)
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Keywords | ヒ素汚染 / 地下水 / バングラデシュ / サムタ村 / ヒ素除去 / HRF |
Research Abstract |
バングラデシュにおける地下水ヒ素汚染の実態について、我々はこれまでジェソール県サムタ村を中心とした地域で調査分析を行ってきている。主に地下水質の調査・分析を基に、サムタ村の地下水へのヒ素の溶出は、還元状態で生じていることが明らかになってきた。その根拠は、サムタ村の地下水は、1.ヒ素濃度の高い村の南部で、EC値、HCO_3^-、Fe^<2+>が高い。2.ヒ素の形態は、ヒ素濃度の低い村の北部でAs^<5+>の割合が高く、ヒ素濃度の高い村の南部でAs^<3+>の割合が高いことが分かったからである。 また、2001年12月から2002年1月にかけて1ヶ月間、バングラデシュジェソール県のサムタ村とマルワ村の2つの村において調査・分析を行った。サムタ村では、定点水質観測を行い、1997年からの地下水のヒ素濃度の経時変化をみた。その結果、ヒ素濃度は季節変化を示しながら上昇傾向を示していたが、2000年3月と、本年度の調査結果から、全体的に減少する傾向を示した。これは1999年9月末にこの一帯で生じた洪水の影響ではないかと考えられるが、今後データの解析を行い原因を解明したい。また、サムタ村での経験を基に、新たにマルワ村での調査・分析を行い、マルワ村での地下水のヒ素汚染の溶出機構がサムタ村と同様、還元状態で生じているのかそれとも他の要因で生じているのかを解明する予定である。両村で多数のサンプルを採取してきたので、これからさらなる分析と解析を行う予定である。 また、ヒ素除去に関する実験としては現地で、礫間沈殿槽(HRF)と緩速ろ過槽(SSF)を用いた各種実験を行った。鉄の酸化や、HRFの前後およびSSFに、鉄くず、炭、籾殻の灰など現地で手軽に調達できるものを加えて実験を行い、0.2ppmの地下水が0.01ppmまで低下した。微生物によるヒ素除去実験では、サムタ村の土壌中からヒ素に強い微生物をみつけ培養中である。これらの結果を基に、効率の良いヒ素除去装置の開発を進めたい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Yokota, K.Tanabe, M.Sezaki, Y.Akiyoshi, T.Miyata, et al.: "Arsenic contamination of ground and pond water and water purification using pond water in Bangladesh"Engineering Geology. Vol.60. 323-331 (2001)
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[Publications] Kimiko Tanabe, Hiroshi Yokota, Hiromi Hironaka, et al.: "Arsenic pollution of groundwater in Bangladesh"Applied Organotnetallic Chernistr. Vol.15, No.4. 241-251 (2001)
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[Publications] 田辺 公子, 矢野 靖典, 廣木 峰也, 濱部 和宏, 薮内 一宏, 横田 漠他: "バングラデシュにおける地下水のヒ素汚染について-サムタ村におけるヒ素濃度特性と溶出メカニズムに関する一考察-"水環境学会誌. 24,6. 367-375 (2001)
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[Publications] Hiroshi Yokota, Kimiko Tanabe, Mistuhiro Sezaki et al.: "A study on arsenic contamination of groundwater in Samta village, Bangladesh"Journal of Global Environment Engineering. Vol.7. 75-85 (2001)
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[Publications] 藪内 一宏, 横田 漠, 田辺 公子: "礫間共沈法による地下水中ヒ素の除去効果に関する研究"第6回アジア地下水ヒ素汚染フォーラム講演要旨集. 95-98 (2001)
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[Publications] 林 幸男, 森本 正浩, 宮武 宗利, 田辺 公子: "ヒ素汚染防除に有効な微生物の検索"Book of abstracts for 10^<th> International Symposium on Natural and Industrial Arsenic Japan. 119-120 (2001)
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[Publications] Kimiko Tanabe, Kazuhiro Yabuuchi, Hiroshi Yokota et al.: "Arsenic Contamination of Groundwater"Asia Arsenic Network and Research Group for Applied Geology, Japan (担当). 1-12 (2001)