2001 Fiscal Year Annual Research Report
大気粉塵中有害金属の超高感度計測による東アジアからの越境汚染の実態の解明
Project/Area Number |
13480160
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 茂 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10137987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 祥 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (60317295)
土器屋 由起子 東京農工大学, 農学部, 教授 (10011909)
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Keywords | エアロゾル / 有害金属 / 超高感度計測 / LA / ICP-MS / 越境大気汚染 / 東アジア |
Research Abstract |
レーザーアブレーション法により、大気粉塵試料中有害金属を効率良くレーザー光で溶発・気化するレーザー光の照射条件について検討を行い、大気粉塵試料をレーザー光で溶発・気化する専用のレーザーアブレーションチェンバーを設計し試作した。レーザーアブレーション(LA)/ICP-MS分析法により大気中粉塵中有害金属の効率的な分析が可能となり、この超高感度な分析法(LA/ICP-MS)に対応したエアロゾルサンプラーの開発が必要となる。従来のエアロゾルサンプラーとしては、大容量の大気を吸引するハイボリュウムサンプラーが代表的であるが、開発された分析技術は極めて高感度であり、多量の粉塵試料を必要としない。実際の分析に使用する試料面積は3mmφである。従って、従来のエアロゾルサンプラーの概念とは大きく異なる極めてコンパクトなもので良く、結果的に効率的・経済的なサンプラーとなる。そして、この様な利点を活かして、47mmφの1つのフィルターに3mmφのスポット状に大気粉塵試料を1日毎36カ所採取し、一カ月間人手を掛けずに自動連続的に1日毎大気粉塵試料を採取できるエアロゾルサンプラーを開発した。 次に、東アジアからの大気汚染物質の長距離輸送の実態と輸送過程を解明する為に、大気粉塵中有害金属の実態調査を行った。具体的には、日本周辺の離島利尻、八丈島で開発したエアロゾルサンプラーを設置し大気粉塵の採取を開始した。又、発生源データを把握するために並行して、中国北京市(清華大学)においても大気粉塵の採取を開始した。採取した数百を越える大気粉塵試料は、慶応義塾大学理工学部において、レーザーアブレーション/ICP-MS分析法を用いて15種類の金属の測定を行った。東アジアからの大気の流れを推定する後方流跡線解析の手法を用いて、大気粉塵試料中の金属の分析データを解析した結果、東アジアからの日本近海への大気粉塵の長距離輸送の実態が明かとなった。
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Research Products
(1 results)