2002 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖における全循環欠損が生態―物質循環系に及ぼす影響に関する観測・理論的研究
Project/Area Number |
13480161
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Research Institution | Lake Biwa Environmental Research Institute |
Principal Investigator |
熊谷 道夫 滋賀県琵琶湖研究所, 研究企画部門, 総括研究員 (40234512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 茂男 滋賀県琵琶湖研究所, 研究企画部門, 研究員 (60300969)
焦 春萌 滋賀県琵琶湖研究所, 研究企画部門, 主任研究員 (70280815)
早川 和秀 滋賀県琵琶湖研究所, 研究企画部門, 研究員 (80291178)
和田 英太郎 総合地球環境学研究所, 教授 (40013578)
永田 俊 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40183892)
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Keywords | 琵琶湖 / 全環境 / 無酸素化 / 温暖化 / レマン湖 / 撫仙湖 |
Research Abstract |
1985年以降、琵琶湖と同じ程度のスケールを有する湖沼で、全循環欠損が顕著になってきている。例えば、スイスとフランスの間に位置するレマン湖や、中国雲南省にある撫仙湖などである。レマン湖では、1970年頃より低酸素化状態が恒常的に発生し、長期化する様相を見せている。撫仙湖では、1995年頃より急激に低酸素化が進行し、冬期であるにもかかわらず無酸素状態が観測された。さらに大きな湖沼であるアフリカのタンガニーカ湖でも無酸素化層が拡大してきており、漁獲量に影響が出ている。琵琶湖においても同様な傾向が見られ、冬期の全循環が抑制されつつあることがわかった。このような湖沼における全循環欠損は、深水層における低酸素化をもたらし、湖内の栄養バランスをくずし、結果的に生態系に大きな影響を及ぼす。酸素濃度が減少すると、湖底から窒素やリンなどの栄養塩だけでなく、硫化物なども溶出してくる。また、琵琶湖の水深40m以深に生息するイサザという魚の急激な減少も、低酸素化状態が影響している可能性が高いようである。地球温暖化の影響は、湖の滞留時問にも影響をあたえてきおり、流入負荷の増大とも関連して、湖内の塩素イオンや全窒素、COD、シリカなどが上昇してきている。我々は、流体に関する3次元数値シミュレーションや生態系モデルの開発も行なってきており、詳細な調査とも補完しながら、全体としての琵琶湖環境を記述したいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 熊谷道夫, 藤村美穂, 李杰森, ハドバータル=ダリジャブ: "中国〓蔵青高原の湖沼と人々-厳しい自然環境への挑戦"地理. 563. 80-86 (2003)
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[Publications] Kumagai, M., W.F.Vincent: "Freshwater Management -Global versus Local Perspectives-"Springer-Verlag, Tokyo. 232 (2003)