2001 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物での活性酸素によるDNA損傷の修復とその欠損の影響
Project/Area Number |
13480162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安井 明 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60191110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 雅 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70216612)
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Keywords | 活性酸素 / チミングリコール / 塩基除去修復 / ノックアウトマウス / ミトコンドリア / 発がん / 老化 |
Research Abstract |
放射線で生じる最も頻繁な損傷は塩基の損傷で、その多くはDNAグリコシラーゼで見つけられて損傷を受けた塩基のみが取り除かれ、生じた塩基の無い部位(APサイト)にAPエンドヌクレアーゼがニックを入れ、損傷を取り除きDNA合成が行われる塩基除去修復により修復される。もしこのような修復が起きないと、正常人でもATやNBSなどの症状、すなわち発がんや老化が、放射線により寄り頻度が高く起きる事が考えられる。しかしながら、その明確な因果関係は見つかっていない。我々は、ピリミジン塩基に生じる種々の損傷を見つけて切り出すDNAグリコシラーゼである大腸菌endonucleaseIII(nth遺伝子のコードされている)マウスホモローグ遺伝子mNth1を単離し、その遺伝子を欠損するマウスをgene targeting法で作成した。このマウスに8gyの放射線を当てて、直後、24時間及び48時間後に肝臓のDNAに含まれるTgの定量をすると、野性型のマウスに比べておよそ1日の遅れでTgが除去されていった。これらの結果は、マウスにはmNth1以外にTgを修復する系が存在することを示している。これらのバッククアップの修復系についてさらに解析し、Tgを切る新しいグリコシラーゼとして、少なくとも二つの活性をミトコンドリア及び核から同定した。ミトコンドリアの活性は、野性型に比べてmNth1の欠損マウスでは活性が昂進していて、チミングリコールに対してはグリコシラーゼの活性しか持たない。これに対して、核分画の新しい活性は、DNAを切る活性も持っている。今後、これらの活性をコードする遺伝子を単離し、それらの機能について明らかにしていく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoo, YH., Yasui, A. 他: "Cyclobutane pyrimidine dimers are responsible for the vast majority of mutations induced by UVB irradiation in mammalian cells"J. Biol. Chem.. 276. 44688-44694 (2001)
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[Publications] Nara, K., Yasui, A.: "Highly elevated UV-induced mutation frequency in isolated Chinese hamster cell lines defective in nucleotide excision repair and mismatch repair proteins"Cancer Res.. 61. 50-52 (2001)
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[Publications] Matsumoto, Y., Yasui, A. 他: "Escherichia coli Nth and human hNTH1 DNA glycosylases are involved in removal of 8-oxoguanine from 8-oxoguanine/guanine mispair in DNA"Nuclcic Acids Res.. 29. 1975-1981 (2001)