2002 Fiscal Year Annual Research Report
ディーゼル排気微粒子(DEP)による生殖器・循環器作用の生理学的要因に関する研究
Project/Area Number |
13480164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
局 博一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30142095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 正貴 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30205273)
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Keywords | ディーゼル排気ガス / 循環器影響 / 生殖器影響 / 流産 / 大気汚染 / C57BLマウス / 子宮収縮 / 成長 |
Research Abstract |
1)DEPEおよび抽出分画がラットの摘出心筋、血管平滑筋収縮に及ぼす影響 ラット摘出心室筋標本の単収縮(刺激頻度1Hz、刺激電圧5V)に対するDEPE(0.1mg/ml、1.0mg/ml、10mg/ml)の作用効果を調べた。その結果、0.1mg/mlの濃度では心筋の収縮性に変化が認められなかったが、1.0mg/mlでは収縮振幅の明瞭な減少が生じ、10mg/mlでは作用直後に振幅が一過性に増加したのち持続的な減少が激しく生じ、20分後にはDEPE作用前の約8%にまで減少した。また、この際心筋は持続的な拘縮を生じていた。なお、これとは別の実験で、一次培養心筋細胞に対するDEPEの作用を調べた結果、細胞内カルシウム濃度の恒久的な上昇が観察された。一方、ラット胸大動脈の摘出血管標本に上記のDEPEを作用させたところ、0.1mg/mlでは軽微な収縮、10mg/mlでは明瞭な弛緩反応が認められた。 2)DEPE(PM2.5)の気管内投与が心不全ラットの心電図、血圧に及ぼす影響 正常ラットおよびドキソルビシン投与(6mg/kg2回腹腔内投与)によって作出された心不全モデルラットにDEPまたはPM2.5の気管内投与による心電図、血圧の変化を観察した。全体的には有意な変化は認められなかったが、一部の個体ではPM2.5の気管内投与でQT間隔の延長やQRS群の異常が観察された。 3)DEの吸入暴露によるマウスの心電図、血圧に及ぼす影響 正常マウスおよびドキソルビシン心不全モデルマウスにDE(ディーゼル排気)(0.03mg/m^3、0.3mg/m^3、3mg/m^3)を吸入暴露し、暴露開始前目、暴露開始の翌日および3日後に無麻酔下で心電図および血圧を測定した。その結果、低濃度ドキソルビシン投与マウスおよび無処置マウスではDEの吸入暴露によりQRS群の延長およびQT間隔の延長などの心電図変化が観察された。3mg/m^3に暴露した一部のマウスでは血圧については、ドキソルビシン投与マウスおよび非投与マウスで低下が認められた。
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Research Products
(1 results)