2002 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ核施設崩壊による放射線被曝の子孫への遺伝的影響の検出
Project/Area Number |
13480167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梁 治子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90301267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 裕夫 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20237275)
野村 大成 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90089871)
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Keywords | チェルノブイリ / 放射線 / 遺伝的影響 / リンパ球 / マイクロサテライト変異 / 低線量・低線量率 / 性細胞の変異 / ヒトでの変異 |
Research Abstract |
電離放射線のヒトへ遺伝(継世代突然変異)リスクを、人類の通常の被曝形態(低線量・低線量率による被曝)で調べるのが本研究の目的である。チェルノブイリ核施設崩壊による被曝は、人類が放射線曝露を受ける被曝形態そのものである。共同研究者K.G.Yelisseeva博士の協力により被曝者、非被曝者のリンパ球を冷凍保存し、大阪大学医学部放射線基礎医学講座で保存している。遺伝性変異の検出系として、遺伝的多型を利用した系、つまりマイクロサテライトの長さを指標とした検出系を試みた。現時点で入手しているリンパ球は、被曝者群(ベラルーシ共和に居住し事故当時、除洗作業に携わった消防士および高濃度汚染地域住民、その配偶者と子供から構成されている家族)100家族、対照群としての非被曝者群(同国内の非汚染地区に居住している家族で被曝者の子供と年令、性別をマッチさせた子供をもつ家族)100家族である。リンパ球保存容器3本のうちの1本を培養し、約10^7個まで増殖させ、DNA, RNA抽出用に保存した。培養については、事故のあった被曝者群31家族、非被曝者群30家族を除いたもののうち、非被曝者リンパ球2本は培養不可能であったが、残り全ては培養に成功した。これら被曝者群69家族、非被曝者群68家族からDNAを抽出し、マイクロサテライト変異をPCR,自動分析器を用い調べた。用いたマイクロサテライトは、くり返し配列の単位が4個からなるtetranucleotide repeat 11種(Y染色体2種を含む)、2個からなるdi nucleotide repeat 5種であり、被曝者群約30家族、非被曝者群約およそ20家族を対照に調べた。被曝者群で3個、非被曝者群で2個の変異が検出された。マイクロサテライトの種類を合計100種に増やしすべての家族について、調べる予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Wani, K.M.Y.et al.: "Genetic Alterations in the coding region of bak gene in uterine cervical carcinoma"Brit. J. Cancer. (in press). (2003)
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[Publications] Le Van Phung et al.: "Specific gyrA mutation at codon 83 in nadidixic acid resistant Salmonella typhi strains isolated from Vietnamese patients"Antimicrob. Agents Chemother.. 46(6). 2052-2053 (2002)
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[Publications] Ryo, H.et al.: "Apoptosis of the thymic lymphocytes detected as a membrane change induced by ionising radiation in p53 defective mice"Mut. Res.. 483, Supple 1. s18 (2001)
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[Publications] Nakatsuka, S., et al.: "Mutations of p53, c-kit, K-ras, and β-Catenin Gene Non-Hodgkin's Lylmphoma of Adrenal Gland"Jpn. J. Cancer Res.. 93. 26-27 (2002)
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[Publications] Taniguchi, E., et al.: "Effects of N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine on the human colorectal polyps consecutively maintained in SCID mice"Cancer Lett.. 18. 12-13 (2002)
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[Publications] 中島裕夫: "放射線生物学からみた医療被曝の評価"兵庫県放射線技師会雑誌. 62(1). 26-74 (2002)
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[Publications] Baskar, R. et al.: "Radiation and Hormisis, Int. Cong. Series 1216"Sponteneouse and radiation-induced tumorigenesis in p53-deficient mice. 556 (2002)