2002 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の循環器・呼吸器病変に及ぼすディーゼル排気微粒子の影響に関する研究
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13480173
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
高野 裕久 国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクト, 総合研究官 (60281698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 敏一 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90158410)
市瀬 孝道 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (50124334)
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Keywords | 生活習慣病 / 呼吸器障害 / 循環器障害 / 感染 / 喘息 / 動脈硬化 / サイトカイン / ディーゼル排気 |
Research Abstract |
肺気腫等の生活習慣病に関連する呼吸器疾患は、細菌感染症の合併により二次的に急性増悪することがしばしば経験される。昨年度に、デイーゼル排気微粒子(DEP)が、炎症性サイトカイン(IL-1β等)やケモカイン(IL-8,MIP-1α,MCP-1等)、細胞接着分子(ICAM-1等)の肺局所における発現の増強や、NFkappaB等の核内転写因子の活性化、細菌毒素の受容体であるToll-like receptorの局所発現の増強等を経て、細菌毒素による肺傷害を相乗的に増悪することを明らかにした。今年度は、新たに、DEPの構成成分のうち、脂溶性化学物質(芳香族炭化水素を主体とする)をジクロロメタンにより可能な限り抽出した後の残査粒子に、肺傷害に対する相乗的増悪効果の主体があることを、世界で初めて明らかにした。また、DEPおよびデイーゼル排気(DE)の経気道暴露が、ヒトの喘息における主要なアレルゲンであるダニによって引き起こされる好酸球性気道炎症を相乗的に増悪することも明らかにした。この効果には、サイトカインであるIL-5とともにケモカインに含まれるEOTAXINの局所発現の亢進が重要な役割を演じていることが示唆された。加えて、DEは慢性閉塞性肺疾患の気道炎症のみならず、二層性の気道過敏症と粘液産生をも増悪し、病態の修飾に関与することを明らかにした。この他、DEPが経口免疫寛容やThリンパ球のバランスを修飾することにより、免疫応答に悪影響を及ぼしうることも明らかにした。さらに、DEに含まれる二酸化窒素が、生活習慣病に関連する動脈硬化を促進する危険因子の変動を増悪することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoshino, S., Takano, H., et al.: "Effect of diesel exhaust particle extracts on induction of oral tolerance in mice"Toxicological Sciences. 60. 293-297 (2002)
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[Publications] Takano, H., et al.: "Diesel exhaust paticle enhance lung injury related to bacterial endotoxin through expression"American Journai of Respiratory and Criticai Care Medicine. 165. 1329-1335 (2002)
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[Publications] Takano, H., et al.: "Lung expression of cytochrome P450 as a possible biomarker of exposure to diesel exhaust particles"Archives of Toxicology. 76. 146-151 (2002)
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[Publications] Sadakane, K., Takano, H., et al.: "Murine Strain diflerences in airway inflammation induced by diesel exhaust particles and house dust mite allergen"International Archives of Allergy and Immunology. 128. 220-228 (2002)