2001 Fiscal Year Annual Research Report
生物活性二次代謝産物に見る多様性の分子基盤の解析と展開
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13480185
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿沼 勝己 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90092543)
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Keywords | ポリケチド / PKS / ラクタム配糖体 / ビセニスタチン / 重水素化 / メバロン酸 / カロテノイド |
Research Abstract |
生理活性二次代謝産物の中で化学構造と機能に最も多様性があるポリケチドを中心に、イソプレノイド化合物も併せて生合成システム総体の分子解析と応用展開を研究している。20員環ラクタムのアミノ糖配糖体であるビセニスタチン(VS)は、ヒト大腸ガン移植モデルで増殖抑制を示すポリケチド抗生物質である。ラクタム構造のポリケチド化合物は極めて少なく、単純ポリケチドからの多様化の例として重要である。ラクタム窒素を含むスターター部がグルタミン酸由来の3-メチルアスパラギン酸であることは本課題以前に明らかにしたが、3位の立体化学に関して同位元素標識法で検討し、(2S, 3S)-体が真の前駆体であり、ポリケチド伸長の過程で3位由来炭素がエピメリ化することを明らかにした。一方、アミノ糖ビセニサミンの推定生合成過程を基にヘキソース部4, 6-デヒドラターゼ及び2, 3-デヒドラターゼの遺伝子をPCR法にて検索し、Streptomyces halstedii HC-34のコスミドライブラリーから該当する遺伝子を同定した。引き続き相同性検索を鍵として周辺遺伝子の解読を進め、グルタミン酸転位酵素及び3種の巨大PKS、並びにアミノ糖生合成酵素群と糖転移酵素に対応する読み枠を持つVS生合成遺伝子クラスターを同定した。これによりgenobiosynthesisの視点からVS生合成過程を確認した。一方、イソプレノイド生合成システムの解析と展開を目的に、イソペンテニル二リン酸生合成系を非メバロン酸経路からメバロン酸経路に転換し、さらにβ-カロチン生合成遺伝子群を導入した三重組み換え大腸菌を用い、完全重水素化メバロン酸を基質として重水中で培養することにより、ほぼ完全に重水素化したβ-カロチンの調製に初めて成功した。結晶構造解析の結果から、重水素置換によりβ-カロチンの炭素-炭素間の結合長が縮小されることを発見した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Katsumi. Kakinuma: "New Approach to Multiply Deuterated Isoprenoids Using Triply Engineered Escherichia coli and Its potential for Mechanistic Enzymology."Journal of American Chemical Society. 123・6. 1238-1239 (2001)
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[Publications] Yasumasa Dekishima: "Preparation of Multiply Deuterated Carotenoids by Triply Engineered Escherichia coli with Perdeuterated Mevalonate"Carotenoid Soience. 4・1. 64-65 (2001)
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[Publications] Hiroshi Nishida: "Amino Acid Starter Unit in the Biosynthesis of Macrolactam Polijketide Antitumor Antibiotic Vicenistatin"Tetrahedron. 57. 8237-8242 (2001)
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[Publications] Yoshitaka Matsushima: "Enautioselective Total Synthesis of Vicenistatin, A Novel 20-Membered Macroeylic Lactam Antitumor Antibiotic"Perkin Transaction 1. (印刷中). (2002)