2003 Fiscal Year Annual Research Report
核酸の高次構造形成に及ぼす金属イオン効果のデータベース化
Project/Area Number |
13480190
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
杉本 直己 甲南大学, 理工学部, 教授 (60206430)
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Keywords | リボザイム / デオキシリボザイム / 核酸高次構造 / 非塩基対部位 / 二次構造予測 / 金属イオン / 最近接塩基対モデル / 熱力学的パラメータ |
Research Abstract |
核酸の多様な高次構造形成に関する情報は、一塩基多型(SNPs)解析や高次構造の検索などといったポストゲノム研究を初めとして、バイオマテリアル分野など広範囲の研究に不可欠なものである。そこで本研究では、これまで定量的な知見がほとんど報告されていなかった、核酸の塩基対認識や特異構造形成における周囲の環境因子、特に金属イオンの重要性を分子レベルで考察した。これまでの研究成果として、核酸の二重鎖構造の熱力学的安定性に対して、どのような金属イオンがどの程度の影響を与えるかを定量的に評価することができた。また、三重鎖構造と四重鎖構造に関して同様の評価を行うために、熱力学的安定性の算出方法の開発も行った。今年度は、実際にこれらの特殊構造に対して金属イオンの種類と濃度がどのような影響を与えるのかを定量的に評価した。アンチパラレル型四本鎖とパラレル型四本鎖、また四本鎖と二本鎖という異なる高次構造間を遷移するDNA配列に関して、どのような周辺環境が特定の構造形成を安定化するかを明らかにした。四重鎖構造に関しては、さらに複雑な環境下での構造遷移に関しても検討し、ポリエチレングリコールを共存させると、一価金属イオン単独の場合と異なる構造遷移が起きることを明らかにした。これらの知見をもとにして、任意の構造を金属イオンによって誘起することにも成功した。また、RNA-DNAキメラ核酸の構造安定性を定量化することで、あらゆる構造に対する金属イオンの効果が予測できるようになった。さらに、金属イオンとの結合を介してRNA切断を触媒するデオキシリボザイムにおいて、金属イオン濃度とデオキシリボザイムの基質認識能、および触媒反応速度の相関を調べ、その効果をデータベース化した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Daisuke Miyoshi: "Structural transition from antiparallel to parallel G-quadruplex of d(G_4T_4G_4) induced by Ca^<2+>"Nucleic Acids Research. 31. 1156-1163 (2003)
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[Publications] Shu-ichi Nakano: "Large stabilization of a DNA duplex by the deoxyadenosine derivatives tethering an aromatic hydrocarbon group"Journal of American Chemical Society. 125. 8086-8087 (2003)
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[Publications] Naoki Sugimoto: "Beyond the Watson-Crick double helix : design of functional nucleic acids in silico, in tube, and in cell"Nucleic Acids Research Suppl.. 3. 211-212 (2003)
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[Publications] Wei Li: "Structural competition involving G-quadruplex DNA and its complement"Biochemistry. 42. 11736-11744 (2003)
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[Publications] Daisuke Miyoshi: "Duplex dissociation of telomere DNAs induced by molecular crowding"Journal of American Chemical Society. 126. 165-169 (2003)
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[Publications] Shu-ichi Nakano: "Influences of ribonucleotide on a duplex conformation and its thermal stability : Study with the chimeric RNA-DNA strands"Journal of American Chemical Society. 126. 1088-1095 (2003)