2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 秀男 東北大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90165093)
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Keywords | キネシン / モータータンパク質 / 1分子 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
「nm計測装置を用いた遊走中の好中球の局所粘弾性の測定」 白血球の一種の好中球は、細菌感染に対する防御に重要なだけでなく、炎症の成立にも関与している細胞である.好中球は細菌や細胞の出す好中球遊走因子の濃度勾配に応じて炎症部位に向かう遊走運動を行い、その細胞質には顆粒(直径0.5μm以下)が多数存在する。我々は好中球遊走機構を解明するために、この顆粒を光トラップで捕捉しその動きを計測することによって、遊走中の好中球の仮足進展部、体部、尾部における局所粘弾性の動的測定を行った。光トラップで好中球内顆粒を捕捉したのち、トラップの中心を矩形波状に100mm変位させた時の顆粒の変位を、nm計測装置を用いて計測した。データはsimple linear viscoelastic modelとstructural damping model(顆粒の動きが羃関数に従うというモデル)の2つの方法で解析したが、後者の解析法が有意にfittingに優っていた。両方の解析法において、遊走中の好中球では、仮足進展部の細胞質で体部、尾部の細胞質に比べて軟らかくて液体状という結果を得た。Fアクチン阻害薬のcytochalasin Dと微小管阻害薬のnocodazoleは体部、尾部の細胞質の粘性および弾性を、均等に約半分に減少させた。 【結論】(1)細胞質粘弾性はstructural damping modelでよくfittingされる.(2)解析法に拘らず、遊走中の好中球では、仮足進展部の細胞質は体部、尾部の細胞質に比べて軟らかくて液体状であることより、細胞遊走の原動力として細胞内圧の関与が示唆される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Higuchi: "Chemomechanical coupling of the forward"Nature Cell Biol.. 4. 790-797 (2002)
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[Publications] H.Higuchi: "Coordination of kinesin's two heads studied"Proc. Natl. Acad. Sci.. 96. 18058-18063 (2002)