2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13480217
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笹井 理生 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (30178628)
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Keywords | 蛋白質フォールディング / ダイナミクス / エネルギーランドスケープ / 機能発現 / 計算機シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、エネルギーランドスケープ理論を機能発現の問題に適用するために、構造変化と機能発現が共役した高次元エネルギー面を考え、この方法をアクトミオシン系のエネルギー変換に適用した。アクトミオシン系については、レバーアーム仮説を支持すると言われるデータも含めて、矛盾する解釈を許す多くの実験データを説明する統一的で合理的な理論は、まだ登場していない。本研究では、アクチンミオシン接触面の構造変化と、すべり運動という機能が共役した高次元エネルギー面を考えることで、この問題を解決しようと試みた。この理論は(1)あらわな、しかし出所不明の詳細釣り合いの破れや、ミリ秒、ナノメートルのスケールで持続する温度差、などの統計力学的に不自然な仮定は導入しなくてもよい。(2)配列の変異、溶媒の変化、などのコントロールによってエネルギー面に生じる変化を予測し、実験と対比させることが可能である。(3)高次元エネルギー面の構造は、力学的な負荷、粘性など実験条件の違いによって柔軟に変化しうる。従って、ミオシン1分子の応答も柔軟であることが予想され、負荷によって生じる運動の差異を定量的に予言することが可能である。などの特徴を持った定量的モデルを構築することに成功した。生物物理学の積年の課題であった分子モータの物理的機構について、見通しのよい、予測能力を備えた理論を展開するために大きな前進をした、ということができる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] J.Higo, M.Sasai, その他: "Large Vortex-like Structure of Dipole Field in Computer Models of Liquid Water"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 98・11. 5961-5964 (2001)
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[Publications] H.K.Nakamura, M.Sasai: "Population Analyses of Kinetic Partitioning in Protein Folding"Proteins. 43・3. 280-291 (2001)
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[Publications] H.K.Nakamura, T.N.Sasaki, M.Sasai: "Strange kinetics and Complex Landscapes in a Lattice Model of Protein Folding"Chem.Phys.Lett.. 347・1. 247-254 (2001)
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[Publications] T.N.Sasaki, M.Sasai: "Carrelation Between the Conformational Space and the Sequence Space of Peptide Chain"J.Biol.Phys.. 28(印刷中). (2002)
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[Publications] 笹井理生: "蛋白質のやわらかなデザイン"物性研究. 75・4. 793-798 (2001)