2002 Fiscal Year Annual Research Report
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13480217
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笹井 理生 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (30178628)
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Keywords | 蛋白質フォールディング / ダイナミクス / エネルギーランドスケープ / 機能発現 / 計算機シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、蛋白質の大規模構造変形のダイナミクスを理解することが機能分析にとって非常に重要であると考え、構造変形の合理的な自由エネルギー曲面のモデルを構築し、この曲面上の運動を分析、分類することにより機能を解析するアプローチを重視した。 この目的を達成するため、粗視化された分子動力学計算法の開発に重点を置いた研究を実施した。すなわち、側鎖の自由度を無視してα炭素、あるいはβ炭素のみを考え、複数の結晶構造や中間体がエネルギー極小となるようにポテンシャルを設計し、分子動力学シミュレーションを実行した。この方法をとくに、アクトミオシン系に適用し機能発現の機構を説明するためのモデルに適用するための研究が行われ、機能発現に際してのエネルギーランドスケープの構築に向けて重要な課題を克服した。また、上述の粗視化された分子動力学計算法に加えて、統計力学的モデルを用いて自由エネルギー面のモデルを構築する研究が行われた。このモデルにより、遷移状態および中間体の構造と特徴が浮き彫りにされ、構造変形と機能の相関を解析するための手法が構築された。この方法を用いて、RASなどシグナル伝達蛋白質について大規模変形と機能の相関を示すための研究が進められた。 さらに、蛋白質の配列設計と構造、フォールディング過程の関係を理解するために、計算機中での配列選択シミュレーションが行われた。その結果、配列は多くの中立な変異をゆるすこと。中立な変異の許容と熱的な構造ゆらぎの間に相関があること、などが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.N.sasaki, M.sasai: "Correlation Between the Conformation Space and the Sequence Space of Peptide Chain"J. Biol. Phys. 28・3. 483-492 (2002)
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[Publications] T.P.Terada, M.Sasai, T.Yomo: "Conformational Change of Actomyosin Complex Drives the Multiple Stepping Movement"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 99・14. 9202-9206 (2002)
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[Publications] M.Sasai, P.G.Wolynes: "Stochastic Gene Expression as a Many Body Problem"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 100・5. 2374-2379 (2003)
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[Publications] 笹井理生, 小松崎民樹, 戸田幹人: "ファネル談義"物性研究. 78・4. 475-509 (2002)
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[Publications] 笹井理生, 寺田智樹: "分子進化とフォールデリング機構"蛋白質・核酸・酵素. 47・6. 677-683 (2002)