2001 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ細胞株の遺伝子ノックアウトによる様々なDNA修復経路の相互作用の解析
Project/Area Number |
13480228
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武田 俊一 京都大学, 医学研究科, 教授 (60188191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 亮 京都大学, 医学研究科, 助手 (50314183)
高田 穣 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30281728)
中山 建男 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (60031712)
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Keywords | 相同DNA組み換え / DNA修復 / チェックポイント / DT40細胞 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
我々は、標的組み換えが容易なニワトリBリンパ細胞株、DT40で系統的にDNA修復に関与する既知の様々な遺伝子をノックアウトすることにより、各DNA修復の機能を解析した。以下に我々の研究業績を3項目にわけて説明する。 (1)Rad51パラログの機能解析 相同DNA組み換えは、生殖細胞が減数分裂するときに起ることが知られている。我々は細胞分裂のときにDNA複製に伴う損傷を修復するために、相同DNA組み換えがおそらく数十回/分裂の頻度で起っていることを示した(論文リスト9、レビュー)。相同DNA組み換えは、少なくとも十数種類のタンパク分子(RAD52エピスタシスグループと呼ぶ)によって進行する。そのなかで中心的な役割をもつ分子が大腸菌のRecAホモログであるRad51である。さらにRAD52エピスタシスグループのなかにはRad51パラログ分子(Rad51と構造が似た分子)が合計5種類(Rad51B、Rad5-1C、Rad51D、XRCC2、XRCC3)存在する。我々は、これらの各ノックアウト細胞を作製し、これらがRad51の補助因子として機能することを示した(論文1、3)。さらに抗体遺伝子座においてノックアウト細胞で点変異が高頻度で蓄積することを示した(論文5)。 (2)Rad51パラログとRad52の機能の相補性 Rad52は、酵母では相同DNA組み換えでもっとも重要な機能をもつが、マウスやニワトリではRad52欠損では異常な表現型がほとんど顕われない。我々は、XRCC3欠損細胞よりRad52/XRCC3 2重欠損細胞がはるかに強い異常が出現することから、(i)Rad52は高等真核細胞で重要な機能をもつこと、(ii)ただしRad52の機能はRad51パラログのそれとオーバーラップしているために、Rad52が欠損してもほとんど異常が出現しないこと、の2点を解明した(論文4)。 (3)コヒーシンの機能解析(論文8) 姉妹染色分体はM期の中期までコヒーシンと呼ばれるタンパク分子群により結合する(コヒージョン)。そしてコヒーシンのなかでScclと呼ばれる分子が分解されることが引き金になって、M期は中期から後期に移行し、姉妹染色分体は互いに解離し紡錘糸によって各姉妹染色分体はそれぞれ両極に引かれていく。コヒーシンを構成する分子は、酵母の遺伝学的解析により数種類同定され、しかもヒトでも保存されていることがわかっている。我々は、(i)Scclが動物細胞でも同じ機能をもつか否か、そして(ii)姉妹染色分体間のコヒージョンが姉妹染色分体間でおこる相同DNA組み換えに重要な機能を持つか否かの2点を解明するためにScclの条件欠損細胞(テトラサイクリンを加えた時にのみScclが発現停止する)を作製した。そしてScclが上記の(i)、(ii)の両方において動物細胞でも重要な働きをすることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Takata: "Chromosome instability and detective recombinational repair in knockout mutants of the five Rad51 paralogs"Mol.Cell.Biol.. 21. 2858-2866 (2001)
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[Publications] A.Fujimori: "Rad52 partially substitutes for the Rad51 paralog XRCC3 in maintaining chromosomal integrity in vertebrate cells"EMBO J. 20. 5513-5520 (2001)
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[Publications] Sale, J.E.: "Ablation of XRCC2/3 transforms immunoglobulin V gene conversion into somatic hypermutation"Nature. 412:9. (2001)
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[Publications] T.Fukushima: "Genetic analysis of the DNA-dependent protein kinase reveals an inhibitory role of Ku in late S-G2 phase DNA double-strand break repair"J.of Biological Chemistry. Vol.276. 44413-44418 (2001)
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[Publications] M.Takata: "Conserved domains in the chicken homologue of BRCA2"Oncogene. (in press). (2001)
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[Publications] E.Sonoda: "Scc1/Rad21/Mcd1 is required for sister chromatid cohesion and kinetochore function in vertebrate cells"Developmental Cell. Vol.1. 759-770 (2001)