2001 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達とアクチンフィラメントとのインターフェースとしてのERM蛋白質群
Project/Area Number |
13480237
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
月田 早智子 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (00188517)
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Keywords | ERM蛋白質 / エズリン / ラディキシン / モエシン / Rho蛋白質 / ノックアウトマウス / 黄疸 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
これまでの経過 ERMファミリーとは、我々が同定した、エズリン・ラディキシン・モエシンよりなる遺伝子ファミリーである。昨年までに我々は、ERM蛋白質が一群の細胞間接着分子とアクチンフィラメントを架橋すること、また、この架橋活性がRhoによって制御されることを報告してきた。 活性型と不活性型のERM蛋白質の分子構造 これまでERM蛋白質のN末端側とC末端側がお互いに分子内で結合することにより、その架橋活性が抑制されると考えられてきた。本年度は、この制御機構を実際に電子顕微鏡とX線回折法により可視化することを試みた。まず、活性型および不活性型の状態に近いことが分かっている変異ラディキシンをバキュロウイルスベクターを用いて昆虫細胞で大量発現・精製し、その分子形態を低角度回転蒸着法により観察したところ、それぞれ予想されていたようなopen formとclosed formを示すことが分かった。そこで、奈良先端大の箱嶋教授のグループと共同でラディキシンおよびメルリンのN末端側半分を結晶化し、X線回折法により原子レベルの構造決定に成功した。これらの構造はERM蛋白質の制御機構に関して多くの情報をもたらした。 ラディキシンノックアウトマウス作製とその解析 ERM蛋白質のうちラディキシンは比較的肝臓に特異的に発現している。我々はERM蛋白質の機能を明らかにするために、昨年のモエシンノックアウトマウスに続いて、ラディキシンノックアウトマウスを作製した。このマウスは正常にメンデルの法則にしたがった率で生まれてくる。しかし、生後数週間で血中の直接ビリルビン値が上昇しはじめ、数ヶ月たつと比較的軽い肝機能障害を示すようになる。この症状はヒトの先天性高ビリルビン血症であるDubin-Johnson症候群に似ている。肝臓では、細胞死と細胞の増殖が繰り返し起きており、長期飼育により肝臓癌が生じてくるかを観察中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shimizu, T.: "Structural basis for neurofibromatosis type 2:Crystal structure of the merlin FERM domain"Journal of Biological Chemistry. (印刷中). (2002)
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[Publications] Ishikawa, H.: "Structural conversion between open and closed forms of radixin : Low-angle shadowing eletron microscopy"Journal of Molecular Biology. 310. 973-978 (2001)
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[Publications] Nakagawa, Y.: "Outer dense fiber 2 is a widespread centrosome scaffold component preferentially associated with mother centrioles"Molecular Biology of the Cell. 12. 1687-1697 (2001)
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[Publications] Hamada, K.: "Crystallographic characterization of the radixin FERM domain bound to the cytoplasmic tail of the adhesion protein ICAM-2"Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr.. 57. 891-892 (2001)
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[Publications] Hamada, K.: "Crystallization and preliminary crystallographic studies of Rho GDI in camplex with radixin FERM domain"Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr.. 57. 889-890 (2001)