2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成における低分子量G蛋白質Rhoファミリーの役割
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13480256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (50303847)
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Keywords | 神経突起 / Rho / Rac / NGF / Rhoキナーゼ / F-アクチン / PC12細胞 / PI3キナーゼ |
Research Abstract |
神経回路は特異的は細胞極性を示す神経細胞が、その神経突起を介した接着により形成される複雑なネットワークシステムである。この神経突起形成に低分子量G蛋白質Rhoファミリーが深く関与しており、細胞骨格の再構築により、Rhoは突起の退縮を、RacとCdc42は突起の伸長を引き起こすことが知られている。しかし、これらのRhoファミリーが、実際の神経突起形成時にどの様な作用を発揮するのか不明である。そこで、PC12細胞でNGFによる神経突起形成における各RhoファミリーG蛋白質の活性を調べた。 PC12細胞において、NGFは約3分をピークにしてRac1をPI3キナーゼ依存的に強く活性化した。また、このとき、活性化されたRac1は細胞膜上の突起形成部位に集積し、そこでF-アクチンの再構築を引き起こし、突起形成を行った。しかし、神経突起形成作用のないEGFはRac1を活性化するが、PI3キナーゼ非依存的で、突起形成部位へのRac1の集積もF-アクチンの再構築も起こらなかった。一方、NGFはRac1を活性化すると同時にRhoAの活性を著しく抑制した。常時活性型Rho、RhoA-V14を発現させてRhoの活性を高いままにしておくと、NGFによるRac1の活性化と突起形成部位へのRac1の集積、F-アクチンの再構築も起きず、神経突起形成も生じなかった。また、この作用はRhoキナーゼを介するものであることがわかった。さらに、この分子機構を調べた結果、Rhoは細胞膜周辺のcortical actin filamentの構造の安定化をもたらし、そのために神経突起形成が阻害された。これらの結果から、NGFはRhoの活性を抑制することにより、細胞膜周辺のcortical actin filamentの構造を崩壊させ、一方でRac1を活性化し、突起形成部位に集積させることによりそこでF-アクチンの再構築を起こし、神経突起を形成させるものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura K. et al.: "Prostaglandin EP3 receptor protein in serotonin and catecholamine cell groups"Neuroscience. 103(3). 763-775 (2001)
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[Publications] Yasui H. et al.: "Differential responses to NGF and EGF in neurite outgrowth of PC12 cells are determined by Rac1 activation systems"The Journal of Biological Chemistry. 276(18). 15298-15305 (2001)
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[Publications] Yamaguchi Y. et al.: "RhoA inhibits the NGF-induced Rac1 activation through Rho-associated kinase-dependent pathway"The Journal of Biological Chemistry. 276(22). 18977-18983 (2001)
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[Publications] Choi S.-Y.et al.: "Potentiation of PGE2-mediated cAMP production during neuronal differentiation of human neuroblastoma SK-N-BE(2) C cells"Journal of Neurochemistry. 79. 303-310 (2001)
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[Publications] Yoshida H. et al.: "ER stress-induced formation of transcription factor complex ERSF including NF-Y and ATF6a and 6b that activates UPR"Molecular and Cellular Biology. 21(4). 1239-1248 (2001)
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[Publications] Haze K.et al.: "Identification of the G13 gene product related to ATF6 as a transcriptional activator of the mammalian UPR"Biochemical Journal. 355. 19-28 (2001)