2002 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の品質管理からみたシナプスの構造・機能維持の分子基盤解明と神経再生への応用
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13480262
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
和田 圭司 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第4部, 部長 (70250222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 百美 九州大学, 大学院・薬学研究院・病態生理, 助教授 (80127985)
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Keywords | ユビキチン / 神経変性 / マウス / 蛋白分解 / 神経細胞 / 神経伝達 / 神経再生 / 幹細胞 |
Research Abstract |
gracile axonal dystrophy (gad)マウスは本邦で見出された遺伝性ミュータントで神経軸索の逆行性変性、すなわちシナプス前終末の構造的・機能的障害を特徴とする。本研究開始までにgadマウスの原因がユビキチンシステムの一員である脱ユビキチン化酵素UCH-L1の遺伝子欠失であることを見出したので、今年度はUCH-L1の生理作用、病態生理作用の解析を昨年度に続き進めた。その結果、gadマウス及び正常対照マウスなどを使用した生化学的研究から、UCH-L1がin vivoでユビキチンと結合していることを見出した。UCH-L1はユビキチンと結合することでユビキチンのライソゾーム移行シグナルをマスクし、結果としてユビキチンのライソゾームでの分解を抑制する可能性が高く、実際パルスラベル法などによる実験からUCH-L1がユビキチンのhalf-lifeを延長する作用を有することを見出した。これらの結果から、UCH-L1の生理作用はユビキチンプールサイズを増加させ、蛋白分解を促進させることであると考えられる。また神経変性だけでなく神経伝達においてもUCH-L1がATP受容体、ノルエピネフリントランスポーターなど神経伝達物質受容体・トランスポーター活性を制御していることを見出した。UCH-L1が神経軸索機能において重要な役割りを果たしていることを示唆する結果でUCH-L1の機能解明を通して神経再生の新たな治療法開発が展望できるようになった。この点において神経幹細胞がニューロン前駆細胞に分化する過程においてUCH-L1がニューロン前駆細胞の良き識別マーカーになることを見出したことは再生医学研究に応用可能な成果として注目されよう。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Aoki, S. et al.: "Identification of a novel axotomy-induced glycosylated protein, AIGP1, possibly involved in cellular apoptosis triggered by ER-Golgi stress"J. Neurosci.. 22. 10751-10760 (2002)
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[Publications] Nishikawa, K et al.: "Alterations of structure and hydrolase activity of parkinsonism-associated human ubiquitin carboxyl-terminal hydrolase L1 variants"Biochem. Biophys. Res. Comm.. (印刷中). (2003)