2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13490007
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多湖 正夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282520)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 久子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (20172372)
兒玉 了祐 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (80211902)
|
Keywords | 放射線感受性 / 細胞致死作用 / 超高線量率X線 / レーザープラズマX線 |
Research Abstract |
本研究は、パルス幅が1ps以下の超高線量率単一短パルスX線(レーザープラズマX線)による培養哺乳動物細胞に対する細胞致死作用の初期過程を検討し、その特徴を明らかにすることを目的として、放射線感受性の異なる2種類の細胞(マウスL5178Y及びその放射線高感受性突然変異株M10)に対する照射実験を行い、コロニー生存率に対する従来の線量率のγ線による結果と0.5psecのパルスX線(線量率10^<12>-10^<13>Gy/sec)による結果との比較検討を行った。 昨年度までに得られた結果は以下の通りである。 1.パルスX線の生物作用では、従来の線量率のX線と比較してその細胞致死作用が高くはならず、むしろやや抵抗性になる。 2.パルスX線の生物作用においては、その間接作用において、従来の線量率のX線の場合とはやや異なる機構となり、細胞内の損傷産物に差が出ている可能性が示唆された。 そこで今年度は、レーザープラズマX線および上記結果の臨床医学応用に関して検討した。まず、パルス幅が1ps以下と非常に短時間であることから、心臓のような動きのある臓器の画像診断への応用が考えられた。この場合、単純写真よりCT撮影が望ましいが、多方向から同時に曝射できることが重要と考えられた。また、放射線治療では、高い位置精度が要求される定位照射、とくに呼吸性移動が問題となる体幹部定位照射への応用が適していると考えられた。ただし、線源から1mの距離での実際の線量率を、現状の放射線治療レベルに確保できることが必須と考えられた。 最後に、本研究は、従来の線量率よりも1000倍高い線量率のX線の生物作用の検討したもので、全く新しい研究成果である。今後再現性の良い実験条件を確立し、更に詳細な検討がなされることを期待したい。また、将来的に、画像診断と放射線治療での臨床応用が実現することもあわせて大いに期待するところである。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Hisako Nakano: "Delayed expression of apoptosis in X-irradiated human leukemic MOLT-4 cells transfected with mutant p53"J Radiat Res. 44. 179-183 (2003)
-
[Publications] 兒玉了祐: "超高強度レーザーによる高輝度ガンマ線の発生と応用"光学. 32. 158-163 (2003)