2001 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙線起源同位体分析による過去1万年間の宇宙線強度・炭素循環変動の解明
Project/Area Number |
13490013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北川 浩之 名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (00234245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 充 福岡大学, 理学部, 助手 (50309887)
増澤 敏行 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (40023858)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
西村 弥亜 東海大学, 海洋学部, 教授 (70167568)
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Keywords | 宇宙線起源同位体 / 宇宙線 / ベリリウム10 / 炭素14 / 泥炭堆積物 / 炭素循環 / 完新世 / 古環境変動 |
Research Abstract |
本研究では、過去1万年間の宇宙線強度の経年変化と炭素循環の時代変化を解明する目的で、高精度な炭素14年代測定で正確な年代編年がなされた泥炭堆積物の^<10>Be(宇宙線生成核種)濃度分析を行う。本研究目的を達成するために、(1)三重県・一志群・美杉町の山岳部の2地点で木質泥炭堆積物の採集、(2)高精度炭素14年代測定をもとに堆積速度と年代を求める計算の数学的な検討及びパーソナルコンピュータベースのプログラム作成、(3)加速器質量分析法及びICP-MS法による^<10>Be濃度測定を行うための泥炭堆積物からのベリリウム成分の定量的抽出法の確率及び定量的なベリリウム濃縮方法の検討を行った。 三重県・一志郡・美杉町で採集した不撹乱泥炭堆積物は、広域テフラ層の年代と加速器質量分析法による炭素14年代測定をもとに過去8,000年間に堆積したものであることが明らかとなった。この堆積物の詳細な堆積層の肉眼・顕微鏡観察・写真撮影などの一時記載を行うとともに、この堆積物中のベリリウム-10濃度変化を高い時間分解能で調べるために体積一定の試料分割を行った。さらに、本研究で開発したパーソナルコンピュータベースのプログラムを用い泥炭堆積物の形成速度のの時代変化を推定した結果、泥炭堆積物の形成速度は比較的一定(10%以下)で、過去1万年間に関して宇宙線生成核種の生成率変化の詳細を明らかにするために有効な試料であることが明らかになった。本研究で採集した堆積物のベリリウム-10濃度分析を今後行うことで、中緯度地帯での宇宙線生成核種の生成率について新たな知見が得られる確信が得られた。
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