2002 Fiscal Year Annual Research Report
国際開発関係大学院と国際援助機関との連携による特別プログラム制度開発に関する研究
Project/Area Number |
13490018
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中山 修一 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (30084122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 博史 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (50118006)
長田 博 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (40233506)
岩崎 秀樹 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (50116539)
青木 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60251146)
辻 正次 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (90029918)
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Keywords | 国際協力 / カリキュラム開発 / 大学院教育 / 海外ボランティア / フィールド・ワーク |
Research Abstract |
昨年度に引き続き欧米の開発関係大学院においてフィールド・ワーク、特に開発途上国をフィールドとする実習がどのようにカリキュラムに取り入れられているか、さらに開発援助機関と大学院との連携の方法について研究した。米国における調査からは、平和部隊との連携プログラムが、厳しい競争原理の中にある大学院にとって、カリキュラムに多様性を与え、より細かく学生のニーズに応えるための手段として認知されていることが明らかとなった。しかし同時に平和部隊のボランテイア事業としての認知度の高さ、社会的評価の高さがその背景にあり、この点での日本のボランテイア事業との差は、日本でのプログラムを考える際にも充分認識する必要がある。英国ならびにオランダにおける調査からは、大学院が外部資金を導入しながら研究能力を高めていく手段として、開発援助機関との連携は極めて有効であることが示されたが、海外実習による学生の教育や具体的な連携事業への学生の関与については、国情の違いもあり、日本の大学院にとって参考となる事例は少なかった。しかしいずれの国あるいは大学院においても開発現場での経験の重要性は認識されており、大学院での教育がさらに積極的に学生の現場経験を志向し重視することは、日本の大学院改革の大きな課題として位置づけられる。しかしそのためには、合わせて大学院カリキュラムの中で、外国語によるコミュニケーションならびにプレゼンテーション能力や、国際的な評価基準に見合う形での研究能力の養成を実現する方法が求められる。現在国内の大学院の中では、いくつか先進的な試みが始められており、全ての講義を英語のみの課程や修士1年課程、あるいはJICAやFASIDなどとの連携共同プログラムなど、いずれも実践志向の教育課程を目指している。その成果が期待されるところであるが、いずれも試行段階というべきところであることから、それぞれの大学院の取り組みは、海外の大学院での実例とも比較しながら充分検討し、日本型の新しい大学院教育の在り方を今後も研究していく必要がある。
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