2001 Fiscal Year Annual Research Report
大環状糖クラスターを用いる細胞認識のシミュレーション
Project/Area Number |
13490021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青山 安宏 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00038093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋吉 一成 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90201285)
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Keywords | 遺伝子 / 遺伝子運搬 / 薬物運搬 / 糖クラスター / ルシフェラーゼ / ガラクトース / 受容体 / 細胞認識 |
Research Abstract |
大環状(カリックスレゾルカレン)骨格に8つ(水酸基部分を利用して)あるいは4つ(ベンゼン環を利用して)の糖鎖を固定化した糖クラスター化合物をキャリア(運搬体)とする遺伝子や薬物の細胞への輸送について検討した。主な成果は以下のとおりである。 1. 8糖クラスターは中性(非荷電)であるにもかかわらず、ルシフェラーゼ遺伝子などを導入したプラスミドDNAと容易に錯形成し、細胞(培養癌細胞)への遺伝子導入のキャリアとして働く。これは、糖で覆われた非荷電の遺伝子キャリアとして世界最初の例である。 2. 糖鎖末端がガラクトースである場合には、ガラクトース残基に対する受容体(レセプター)を有する肝細胞に選択的に遺伝子が導入される。これにより、糖鎖を利用した遺伝子の細胞指向運搬(ジーンデリバリー)が可能であることを示した。 3. 遺伝子導入のメカニズムはエンドサイトーシスに基づくと考えられるが、糖クラスター/DNA複合体のサイズが導入効率に大きな影響を及ぼし、これが1ミクロン以上になると、遺伝子導入は殆ど起こらないことが判明した。換言すれば、特定の糖鎖を有し、大きさが100nm以下の会合体を形成させることが今後の課題であるとの指針を得た。 4. 4糖クラスターはその疎水孔に蛍光性疎水性のゲスト化合物を取り込み、糖末端がガラクトースである場合にはゲストを選択的に肝細胞に運搬できることが明らかになった。さらに、ゲストとの会合体がエンドサイトーシスで細胞内のサイトゾルに取り込まれ、核膜を通過することなくここにとどまることがゲスト輸送の温度依存性および蛍光顕微鏡の精密観察から示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takehisa DEWA, Toshiyuki SAIKI, Yasuhiro AOYAMA: "Enolization and Aldol Reactions of Ketone with a La-Immobilized Organic Solids in Water. A Microporous Enolase Mimic"J.Am.Chem.Soc.. 123・3. 502-503 (2001)
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[Publications] Osamu HAYASHIDA, Aki MATSUO, Yasuhiro AOYAMA: "Macrocyclic Saccharide Bundles as a New Type of Firm DNA Binders"Chem.Lett.. 3. 272-273 (2001)
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[Publications] Toshihiro TANAKA, Ken ENDO, Yasuhiro AOYAMA: "Stacked Porphyrin Arrays from Hydrogen-Bonded Porphyrin-Resorcinol 1D Chains"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 74・5. 907-916 (2001)
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[Publications] Masanobu NAITO, Yusuke SASAKI, Takehisa DEWA, Yasuhiro AOYAMA, Yoshio OKAHATA: "Effect of Solvation on Induced-Fit Molecular Recognition in Supercritical Fluid to Organic Crystals Immobilized on a Quartz Crystal Microbalance"J.Am.Chem.Soc.. 123・44. (2001)
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[Publications] 林田修, 青山安宏: "糖鎖分子の設計と生理機能"学会出版センター. 94-100 (2001)