2002 Fiscal Year Annual Research Report
大環状糖クラスターを用いる細胞認識のシミュレーション
Project/Area Number |
13490021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青山 安宏 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00038093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山東 信介 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20346084)
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Keywords | 糖クラスター / ナノパーティクル / 水素結合 / 核酸 / 人工ウイルス / 遺伝子導入 / 細胞 / トランスフェクション |
Research Abstract |
カリックスレゾルカレンを骨格とする大環状糖クラスタ-化合物が水中でミセル様の会合体(グリコクラスターナノパーティクル、GNP)を形成し、これらGNPがリン酸イオンにより凝集することをゲルろ過クロマト、光散乱、透過電顕などにより明らかにした。さらに、GNPは核酸のリン酸イオンとも強く相互作用する結果、前者を鋳型としてこれを取り囲み、数とサイズが高度に規制された「人工ウイルス」が生成することが明かとなった。人工ウイルスは細胞に「感染力」があり、ルシフェラーゼ遺伝子をコードしたプラスミドDNAを含む人工ウイルスは種々の培養細胞に遺伝子を導入し、ルシフェラーゼを発現する。末端がアルファーグルコース基を有するセロビオース由来の人工ウイルスは50nm程度の単量体ウイルスであり、Hela細胞に対する遺伝子の導入効率はよく用いられるカチオン性のベクター(遺伝子キャリア)であるリポフェクチンに比べて一桁ほど高いことから、カチオン電荷や、いわゆるプロトンスポンジ効果と称されるアミンの緩衝作用は人工的な遺伝子ベクターの必須条件ではないことを意味している。また、末端の糖鎖を種々に変化させると、(1)ウイルスが糖選択的に会合を起こすこと、(2)会合したウイルスの感染力(遺伝子導入効果)は著しく低下すること、(3)会合の程度を反映するウイルスのサイズ(平均粒径)と導入効率の間には負の傾きを有する直線関係が存在すること、などが明かとなった。これらの結果は会合していない単量体のウイルスのみが活性であることを示している。また、末端ガラクトースを有する人工ウイルスの肝細胞に対する受容体経由効果が100倍程度であることも明らかになった。 一方、相互作用として水素結合を用いた有機多孔体の構築にも成功した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Oshima, T.Yamauchi, M.Shimomura, S.Miyauchi, Y.Aoyama: "Selective 3-O-and 6-O-Glycosidation of Unprotected O-and S-Glycosides Promoted by an Intramolecularly Coordinated Arylboronic Compound"Bull.Chem.Soc.Jpn.. 75・6. 1319-1324 (2002)
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[Publications] O.Hayashida, K.Mizuki, K.Akagi, A.Matsuo, T.Kanamori, T.Nakai, S.Sando, Y.Aoyama: "Macrocyclic Glycoclusters. Self-Aggregation and Phosphate-Induced Agglutination Behaviors of Calix[4]resorcarene-Based Quadruple-Chain Amphiphiles with a Huge Oligosaccharide Pool"J.Am.Chem.Soc.. 125・2. 594-601 (2003)
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[Publications] Y.Aoyama, T.Kanamori, T.Nakai, T.Sasaki, S.Horiuchi, S.Sando, T.Niidome: "Artificial Viruses and Their Application to Gene Delivery. Size-Controlled Gene Coating with Glycocluster nanoparticles"J.Am.Chem.Soc.. 125(印刷中). (2003)
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[Publications] T.Tanaka, T.Tasaki, Y.Aoyama: "Acridinylresorcinol as a Self-Complementary Building Block of Robust Hydrogen=bonded 2D Nets with Coordinatively Saturation. Preservation of Crystal Structures upon Guest Removal, Guest Alteration, and Host Modification"J.Am.Chem.Soc.. 124・42. 12453-12462 (2002)
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[Publications] K.Endo, Y.Kondo, Y.Aoyama, F.Hamada: "Guest-Binding Properties of Functionally Porous Crystal Based on Metal Complex of p-tert-Butylthiacalix[6]arene"Tetrahedron Lett.. 6(印刷中). (2003)