2002 Fiscal Year Annual Research Report
膨潤機構の新規観察手法の確立と親水性繊維の捲縮、形態加工技術への応用
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13490033
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
呑海 信雄 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (90237181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 勝次 新潟県立工業技術総合研究所, 主任研究員
佐々木 博昭 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (20123218)
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Keywords | リオセル繊維 / 反応染色 / 液体アンモニア処理 / 高圧水蒸気処理 / 膨潤 / 酒石酸鉄(III)ナトリューム塩溶液 / NaOH水溶液 / 繊維の捲縮 |
Research Abstract |
昨年度、セルロース系繊維の水膨潤時での形態、特に繊維の細孔分布を調べるためには逆相液体クロマトグラフィー法が非常に有効であることを実証した。本年度は、各種反応性染料を用いた染色と各種加工処理、即ち液体アンモニア処理、NaOH水溶液処現、高圧水蒸気処理、多官能性カルボン酸による架橋処理を行ったリオセル繊維について、水膨潤時の細孔分布とこれら染色、加工処理の膨潤に及ぼす効果を検討した。また、リオセル繊維に特異的であるフィブリル化に対する抑制効果も併せて検討した。フィブリル化の試験法として、簡便でかつ短時間で判定できるミキサー法の基準を確定し、その指標を用いてフィブリル化の程度を調べた。その結果、三官能以上の多官能性反応染色と高圧水蒸気処理、液体アンモニア処理がリオセル繊維のフィブリル化抑制に非常に有効であることを見出した。 さらに、昨年来よりセルロース系溶媒中での繊維の膨潤形態変化、即ち繊維長方向と半径方向の膨潤・収縮の異方的変化をとうして繊維内部の構造を調べていたが、リオセル繊維のみが酒石酸鉄(III)ナトリューム塩溶液とNaOH水溶液で膨潤した時、明確に繊維が捲縮を起こすことを確認した。同程度の高結晶性であるリオセルとポリジックの膨潤した繊維を偏向顕微鏡下で比較したとき、リオセル繊維はこれら溶媒中で膨潤してもその光学的異方性は残っているのに反し、ポリジック繊維は等方性を示した。このことより、リオセル繊維は膨潤してもミクロフィブリルは残存しており、その再配向が捲縮を誘発していることが判明した。現在、その捲縮を起こす最適条件を検討中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 笠原勝次, 呑海信雄, 佐々木博昭, 高岸徹: "水膨潤状態セルロース系繊維の新規構造観察"繊維学会誌. 58・7. 273-276 (2002)
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[Publications] 笠原勝次, 佐々木博昭, 呑海信雄, 伊藤啓, 高岸徹: "液体クロマトグラフィー法による膨潤セルロース系繊維のキャラクタリゼーション"繊維学会誌. 58・9. 332-336 (2002)
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[Publications] 呑海信雄, 佐々木博昭, 笠原勝次: "液体クロマトグラフィーによる反応染色したリオセル糸の膨潤挙動"繊維学会予稿集 2002年度年次大会. 57・1. 281 (2002)
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[Publications] 呑海信雄, 佐々木博昭, 笠原勝次, 吉原亨, 伊藤啓: "酒石酸鉄(III)ナトリューム溶液によるセルロース系繊維の膨潤と捲縮"第15回繊維連合研究発表会 講演要旨集. 93 (2002)
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[Publications] 笠原勝次, 佐々木博昭, 呑海信雄, 伊藤啓: "セルロース繊維のフィブリル化試験"第15回繊維連合研究発表会 講演要旨集. 94 (2002)
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[Publications] 佐々木博昭, 呑海信雄, 笠原勝次, 伊藤啓: "膨潤リオセル繊維の細孔に及ぼす染色・加工の影響"第42回染色化学討講会 講演要旨集. 41-44 (2002)
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[Publications] N.Donkai, H.Sasaki, K.Kasahara, H.Itou: "Swelling Behavior of Cellulosic Fibers"1^<st> international Cellulose Conference, ICC2002 Preprint. 100 (2002)
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[Publications] H.Sasaki, N.Donkai, K.Kasahara, H.Ito: "Effect of Reactive Dying on Pore Structure of lyocell Fibers"The Collection Of The Theses For The 2002 Sino-Japanese Fiber Symposium. 319-320 (2002)