2002 Fiscal Year Annual Research Report
新世紀の地域一体型老人介護施設における自立支援介護サービスの開発とその評価
Project/Area Number |
13551002
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
城 仁士 神戸大学, 発達科学部, 教授 (40145214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 由香 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (00283846)
二宮 厚美 神戸大学, 発達科学部, 教授 (80093491)
青木 務 神戸大学, 発達科学部, 教授 (30093173)
杉万 俊夫 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10135642)
近藤 徳彦 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (70215458)
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Keywords | 老人介護施設 / 自立支援 / サービス体系 / 環境づくり / 集合的変容 / 住民参加 / ストレス軽減 / 自治体 |
Research Abstract |
本研究は利用者本位・住民主体の介護サービスがどのようなものであればいいのか提案し、さらにサービス機能の評価方法を開発することを目的とする。平成14年度は次のような3つの下位目的を設定し、実施した。 1)被介護者を中心にスタッフ、介護者、地域住民の連携を促進する介護サービスの開発と評価を生活環境心理学、健康医学、環境生理学の視点からった。本年度は、施設のサービス体系を自立支援、介護支援、知織共有、地域交流の4つに別けた評価の枠組みに基づいて、京都府下(124施設)と大阪府下(94施設)の計218老人福祉施設を対象にサービス調査を行った。また、海外での老人福祉施設の視察をデンマーク(オーフスとコペンハーゲン)とオーストラリア(パース)で行い、日本型の介護サービスとの基本的な差異は、サービス利用者自らの自主的選択によってサービスが提供されている点、すなわちdo forではなくdo withの福祉サービスが実施されている点であった。環境生理学からは高齢者の体力と環境要因について,コペンハーゲン大学の研究者と意見交換を行い,デンマークでも健康維持として運動が実施されているが,やはり実施するが環境整備不十分であるとの見解を得た。また,高齢者の体力に関わるセミナーを実施した。 2)施設を利用した地方行事、イベントなどの交流活動がどのような集合的変容をたどるかを分析した。3年前から無医地区となった過疎地域、小野郷地区(京都市北区)において、「住民が主体となって診療所を設立、運営する」という新しい地域医療システムを、医師との共同によって構築しつつ、その経緯と問題点を、グループ・ダイナミックスの立場から検討した。高齢化が著しく、保守的な権力構造が残存する中で、いかにして「医療を軸とする地域活性化」を実現するか、という実践的取り組みでもある。 3)被介護者のみならず介護者、利用者の家族、スタッフのストレスを軽減するハード面とソフト面の機能を住環境学、経済学から分析・評価した。住環境学の立場からは、高齢者居住施設の表面仕上げ材料として、入居者にやすらぎを与える木が優れているとされている。しかし、最近では木離れが進んでいるとされているため、加齢に伴う材料評価の基礎的な調査を行い、子どもの発達過程で、住宅材料教育が重要な意味を持つことを示した。経済学の視点からは、介護保険下での高齢者福祉と自治体の役割について次のような提言を行った。1)自治体が介護サービスの給付について相当の責任を果たす体制を保持すること。2)過去の措置制度が担っていた現物給付的責任を取り戻すこと。3)在宅介護と施設介護の地域的ネットワークを形成するとき、自治体がそのネットの結節点を担っていくことの3点である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小田 利勝: "高齢化社会の構造的特質と高度産業社会の行く末に関する試論"人間科学研究. 9・2. 99-107 (2002)
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[Publications] 二宮 厚美: "介護保険下での高齢者福祉と自治体の役割"人間科学研究. 9・2. 109-115 (2002)
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[Publications] 櫻井 孝: "神戸大学病院での高齢者総合機能評価と地域ネットワーク"人間科学研究. 9・2. 117-123 (2002)
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[Publications] 鷹股 亮: "体液調節と体温調節の相互作用-運動トレーニング・暑熱順化と加齢の影響-"人間科学研究. 10・1. 141-158 (2002)
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[Publications] 岩崎 錦, 吉野鈴子: "快適に楽しく着よう-高齢者の望ましい衣服を考える-"人間科学研究. 10・1. 159-170 (2002)
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[Publications] 青木 務: "高齢化社会における住宅材料"ウッドヘッド(2002). 第13号. 18-19 (2002)