2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13551006
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
甲元 眞之 熊本大学, 文学部, 教授 (70072717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉井 健 熊本大学, 文学部, 助教授 (90263178)
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 助教授 (80274679)
木下 尚子 熊本大学, 文学部, 教授 (70169910)
大坪 志子 熊本大学, 文学部, 助手 (90304980)
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Keywords | 植物種子 / 生業活動 / 先史・古代 / 栽培植物 / 植物利用 / AMS法 |
Research Abstract |
1.研究の目的及び実施計画 本研究は、(1)九州出土の植物遺存体を収集検討して、有用植物の種の範囲を把握し、(2)植物種子を直接AMS法による年代測定を行って、確実な資料を集積し、(3)先史・古代人の通年的な生業暦の中での具体的な生業活動を究明することにある。そのために、九州各地の教育委員会文化財担当者の協力をえて、植物遺存体の採集が可能な遺跡での1mmメッシュを備えた水選別機械による選別をおこない、(2)植物種子を直接年代測定することで、コンタミネーションを排除し、江戸時代以来の救荒作物の利用法を検討して、有用植物の利用法を明らかにする。さらに(4)中国、韓国、ロシア極東地域の植物遺存体との比較検討をおこなうことで、穀物栽培導入過程の実体を把握することを企図するものである。 2.本年度の研究実績 本年度は下記の調査を実施した。 1)長崎県原の辻遺跡(弥生時代後期)、佐賀県中原遺跡(奈良時代)、熊本県下扇原遺跡(弥生時代後期)、河原第3遺跡(縄文時代早・後・晩期)、宮崎県下耳切遺跡(縄文時代中期)、沖縄県伊礼原C遺跡(縄文時代前期)での植物種子の採取。 2)熊本県赤立遺跡(弥生時代後期)、一尾貝塚(縄文時代後期)、鹿児島県タチバナ遺跡(縄文時代晩期)の種子同定。 3)伊礼原C遺跡のオキナワウラジロガシとシイ、大安場古墳出土イネとオオムギ、ロシア・クロノフカ遺跡の年代測定。 4)ロシア極東及び韓国に出張し、先史時代の植物出土状況の把握と既出資料の実地検討。 5)考古学の報告書より中国、韓国、ロシア極東、九州出土植物遺存体の集成。 6)江戸時代以来の救荒植物の分析をおこない、遺跡出土植物の利用法の検討結果を明らかにし(甲元眞之「先史時代九州の植物利用」『先史学・考古学論究』IV、2003年)、また遺跡出土ドングリの識別方法を論じた(小畑弘己「考古学者のためのドングリ識別法」『先史学・考古学論究』IV、2003年)。 7)一尾貝塚出土植物遺存体の分析結果を公表(甲元眞之編『先史・古代東アジア出土の植物遺存体』・熊本大学、2003年)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小畑弘己, 大坪志子: "考古学者のためのドングリ識別法"先史学・考古学論究. 111-170 (2003)
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[Publications] 小畑弘己: "植物遺存体からみた古代植物と食文化"食生活研究. 23巻2号. 32-45 (2003)
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[Publications] 甲元眞之: "東アジアの先史時代漁撈"東アジアと日本の考古学IV. 151-181 (2002)
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[Publications] 甲元眞之: "東アジアの初期農耕文化と原の辻遺跡"一支国探訪. 20-25 (2002)
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[Publications] 甲元眞之: "先史時代九州の植物利用"先史学・考古学論究. 97-110 (2003)
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[Publications] 甲元眞之編: "先史・古代東アジア出土の植物遺存体"熊本大学文学部. 30 (2003)