2003 Fiscal Year Annual Research Report
クロムおよび白金族元素鉱床の統一的成因論および探査/評価システムの確立
Project/Area Number |
13554017
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Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
荒井 章司 金沢大学, 理学部, 教授 (20107684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 一郎 島根大学, 教育学部, 助教授 (30335541)
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Keywords | ポディフォーム・クロミタイト / マントル / オフィオライト / オマーン / 白金族元素 / 地殻 / モロッコ / 原生代 |
Research Abstract |
オマーンオフィオライトの地殻部の新たなタイプのポディフォーム・クロミタイトを記載し,クロム鉱床の成因論に対して新たな提言を行った.あらゆるタイプのクロム鉱床の生成に,未分化マグマと分化マグマの混合が重要な役割を果たしていることが明らかになった.同オフィオライトのマントル部分のクロミタイトの調査をワジ・ラジミ地域を中心に行った.その結果,今まで検討されたことのないいくつかのポッドについて新たな知見を得ることが出来た.そのいくつかは白金族元素に富んでいることが予想される.これらのポッドはダナイトの脈に「貫かれている」が,それはスピネル+かんらん石のマッシュからかんらん石のみが分離して生成したように見える.現在化学組成を検討中であり,クロム鉱床成因論に修正を迫る結果が出つつある. 原生代のオフィオライトのうちもっともその層序が保存されているとされる,モロッコのボウ・アゼールオフィオライトのかんらん岩およびクロミタイトの予察的研究を行った.その結果,かんらん岩の原岩はハルツバーガイトおよびダナイトであり,スピネルのCr#は0.8以上と高いことが判明した.また,ハルツバーガイトの斜方輝石のモードは比較的低い.クロミタイトのスピネルも同様にCrに富む.今までの我々のエジプトおよびイランの同時代のオフィオライトもほぼ同様の性質を有することから,原生代のオフィオライトのマントル部は顕生代のものに比べて全体的に枯渇度が高いことが判明した.この環境は,クロミタイト鉱床のCr/Al比を高めるためには好都合であるが,大規模な鉱床を作るには不利である.また,この違いは地球の熱史を反映している可能性がある.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Arai, S., Uesugi, J., Ahmed, A.H.: "The upper crustal podiform chromitite from the northern Oman ophiolite as the stratigraphically shallowest chromitite in ophiolite and its implication for Cr concentration"Contrib.Mineral.Petrol.. 145(印刷中). (2004)
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[Publications] Ahmed, A.H., Arai, S.: "Platinum-Group minerals in podiform chromitites of the Oman ophiolite"Canadian Mineralogist. 41. 597-616 (2003)
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[Publications] Tamura, A., Arai, S.: "Inhomegeneous spinel in chormitite from the Iwanai-dake peridotite complex, Hokkaido, Japan, : variations of spinel unmixing texture and chemical compositions"The Science Reports of Kanazawa University. 48. 9-29 (2004)
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[Publications] 上杉次郎, 荒井章司, 森下知晃, 松影香子, 角島和之, 田村明弘, 阿部なつ江: "オマーンオフィオライトにおけるマントル-地殻境界の実体と多様性"地学雑誌. 112. 750-768 (2003)
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[Publications] Morishita, T., Arai, S., Gervilla, F., Green, D.H.: "Closed system geochemical recycling of curstal materials in alpine-type peridotite"Geochim.Cosmochim.Acta. 67. 303-310 (2003)
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[Publications] Arai, S., Shimizu, Y., Gervilla, F.: "Quartz diorite veins in a peridotite xenolith from Tallante, Spain : implications for reaction and survival of slab-derived SiO2-oversaturated melt in the upper mantle."Proceedings of Japan Academy, Series B. 79. 145-150 (2003)
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[Publications] 荒井章司(鹿園直建ほか編): "オフィオライトの鉱床;鉱床学と岩石学(資源環境地質学)"資源地質学会. 9-12 (2003)