2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーによるがんの光化学治療に有効な増感色素の開発
Project/Area Number |
13554025
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 秀成 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60051752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 直樹 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30222392)
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Keywords | がん / 光化学治療 / 光増感色素 / クロロフィル誘導体 / 金属クロロフィル / クロリン / ポルフィリン / DNA |
Research Abstract |
レーザーによる光化学治療(PDT)に有効な光増感色素として水溶性クロロフィル誘導体に着目し,アニオン性金属(II)クロリン誘導体,両親媒性クロリン-アミノ糖複合体およびカチオン性クロリン誘導体を合成し,それらのDNAとの相互作用およびDNA光切断能を検討した。ここで合成した各種クロロフィル誘導体と仔牛胸腺DNAとの相互作用は紫外・可視吸収スペクトル,円偏光二色性スペクトル,DNAの融解温度,DNA溶液の粘度などの測定により,またクロロフィル誘導体の共存下におけるプラスミドDNAの光照射による切断はアガロースゲル電気泳動の測定により調べた。アニオン性金属(II)クロリンe_6誘導体とDNAの相互作用の強さは緩衝液のpHに依存するが,DNA光切断能は中心金属に亜鉛(II)を導入したときに最も高くなることが分かった。両親媒性クロリンe_6-アミノ糖複合体については,アミノ糖による化学修飾が複合体のDNAとの相互作用に影響を与え,またDNA光切断活性が認められ,その切断機構が一重項酸素を介したType IIによるものであることも分かった。さらに,カチオン性クロリンe_6誘導体については,カチオン性置換基の導入がDNAとの相互作用を促進し,可視光照射によるDNA光切断が一重項酸素の発生に起因していることも明らかになった。以上のことから,新たに合成した3種類の水溶性クロロフィル誘導体はいずれもDNAと相互作用し,それらの相互作用の強さが一重項酸素によるDNA光切断能に深く関係していることが確かめられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yamamoto, T.: "Interaction of Dicationic Bis(imidazoliumyl)porphyrinatometals with DNA"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 76. 1947-1955 (2003)
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[Publications] Mudasir: "DNA-Binding Properties of Iron(II) Mixed-Lagand Complexes Containing 1,10-Phenanthroline and Dipyrido[3,2-a:2',3'-c]phenazine"Zeitschrift fur Naturforschung. 59b. 310-318 (2004)