2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13554029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺前 紀夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70114569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 康浩 東レリサーチセンター, 生物化学研究部, 主任研究員
西沢 精一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40281969)
内田 達也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30261548)
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Keywords | グアニン / テロメア / 核酸 / 蛍光 / 検出 / 自己会合 / オクタマー |
Research Abstract |
生体系における自己集合構造の一つとして,グアノシン四量体(G-4, G-カルテット)が注目されている。これはG-4構造の形成・解離が生体内でのテロメアの機能と密接な関係にあり,その形成メカニズムの解明が病理学的に重要であるためである。一方,G-4形成を人工的に模倣・制御することにより,人工チャネルの構築やイオン対認識レセプターの開発,触媒反応場としての利用など,G-4高次構造形成に基づく新しい機能性物質の開発が試みられつつある。 研究では,グアノシン自己会合体の会合制御,並びにそれを利用した核酸塩基の蛍光検出に着目し,糖部位を化学修飾したグアノシン誘導体(Me-Gu:5位にメチル基を導入;Py-Gu:5位にピレニル基を導入)を新規合成した。有機溶媒中における会合状態,及び核酸塩基認識による会合体の構造変化を^1H NMR,蛍光およびCDスペクトルにより検討した結果,Me-Gu及ぴPy-Guが自発的にオクタマー(G-8)を形成すること,また,Py-Guの自己会合に基づくG-8が核酸塩基に対する蛍光試薬として機能することを見出した。 本研究により得られた新たな知見として,アルカリ金属イオンに依らないグアノシン自己会合体の会合制御法の発見が挙げられる。これまでに,アルカリ金属イオンを鋳型としてG-8構造を構築できることは良く知られているが,本研究では,グアノシンのコンフォメーション制御,並びに上下二つのG-4間の水素結合形成によりG-8構造を構築できることを初めて見出した。さらに,G-8構造の形成・解離を利用することにより,核酸塩基の二波長蛍光強度比解析を初めて可能とした。既存の核酸塩基蛍光検出試薬の殆どが蛍光消光型であるのに対し,Py-GuのG-8ではピレン部位のモノマー/エキシマー蛍光強度比解析が可能であり,蛍光応答特性の顕著な改善を達成した。
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