2003 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ電界放出型電子銃を透過電子顕微鏡へ搭載するための研究
Project/Area Number |
13555006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹司 敬義 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (90125609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 美智子 (財)ファインセラミックスセンター, 主任研究員
田中 成泰 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 講師 (70217032)
市橋 幹夫 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (90345869)
岡本 篤人 (株)豊田中央研究所, 研究員
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電界放出電子銃 / 炭化珪素表面分解法 / 精密ダイアモンドカッター / 収束イオンピーム(FIB)加工 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)の電子顕微鏡用電界放出電子銃への応用を目指し、炭化珪素(SiC)表面分解法によりCNTチップを作製し、その電界電子放出特性を測定してきた。 CNTチップの作製方法を述べる。SiC単結晶の<0001>方向を軸とし、先端面積巻0.5〓mx5〓mまで先鋭化したチップの基盤ロッドを特別な精密ダイアモンドカッターを用いて切り出す。加工層除去のためのエッチングの後、化学洗浄を行う。切り出した基盤ロッドの先端を収束イオンビーム(FIB)加工を行うことで先端面積をさらに先鋭化する。この時、SiCの(0001)表面の結晶性を維持することが重要であるため従来は、SiC表面に二酸化珪素(SiO_2)の層を作製、チップの保護膜としていたが、より簡便な処理を目指し、アルミニウム(Al)の真空蒸着をチップの保護膜とした。FIB加工の後、Alを水酸化ナトリウムにより除去し、1Pa、1700℃で6時間の真空加熱を行うことで、CNTを基盤ロッドの先端に配向成長させることができた。 従来は先端面積が0.5mm×1mmのものまでしかCNTの配向成長を確認できていなかったが、FIB加工の加工方向を工夫することにより先端面積が0.3mmx0.3mmのものでもCNTの配向成長を確認することができた。 SiC表面分解法により配向性のあるCNTを生成したあとも基盤ロッドの大部分はSiCのままである。このままではチップそのものの抵抗率が高いため、1x10^<-2>Pa、1700℃で10時間真空加熱することによりグラファイトの導電層を(1210)面に作製することを新たに行った。 以上新たに開発した手法により作製したCNTチップを透過電子顕微鏡用電子銃に取り付け,4x10^<-7>Paの真空中で,150nA(引き出し電圧2.5kV)の安定な電子放出を確認した。推定輝度は加速電圧100kV換算で_〜1^<-8>A/cm^2/strと,W(310)冷陰極電界放出電子銃とほぼ同程度であった。 先端のCNT密度の調整,クリーニングのための加熱処理温度等,諸条件をさらにつめていくことにより,本研究で開発した新型CNT電界放出電子銃が従来のもの以上に高いパフォーマンスを示す電子銃となりうる可能性が十分にあるものと確信する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Tanji 他3名: "Evaluation of high-precision phase-shifting electron holography by using hologram simulation"Surface and Interface Analysis. 35・2. 60-65 (2003)
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[Publications] T.Tanji 他3名: "Observation of magnetic multilayers by electron holography"Microscopy and Microanalysis. 10・1. 146-152 (2004)
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[Publications] S.Tanaka, T.Tanji 他5名: "Transmission electron microscopy study of an AlN nucleation layer for the growth of GaN on a 7-degree off-oriented (001) Si substrate by metalorganic vapor phase epitaxy"J.Crystal Growth. 260・3-4. 360-365 (2004)
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[Publications] T.Tanji, M.Kusunoki, A.Okamoto 他3名: "Development of a new electron source for an electron microscope using self-aligned carbon nanotubes (I)"Proc.25th Commemorative Fullerene・Nanotubes Symposium, Awaji, Japan, July 23-25. 169-169 (2003)
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[Publications] T.Tanji, M.Kusunoki, A.Okamoto 他2名: "Development of noble field emitter using carbon nanotubes"Proc.8th Asia-Pacific Conference on Electron Microscopy, Kanazawa, Japan, June 7-11. 280-281 (2004)