2003 Fiscal Year Annual Research Report
電子線ホログラフィーによるナノ磁区構造評価法の開発
Project/Area Number |
13555017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
進藤 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20154396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津野 勝重 日本電子(株)基礎研究部, 第一研究室長(研究職)
村上 恭和 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (30281992)
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Keywords | 磁性体 / 電子顕微鏡 / 磁区構造 / マンガン酸化物 / 微細構造 / 磁化分布 / 磁壁 / 磁束 |
Research Abstract |
ホログラフィーを用いたナノ磁区構造の評価に関して以下の研究を行った。 1.局所的磁化分布の精密解析法の確立 一般的にホログラムの位相再生像には磁場に関する情報と電場に関する情報(内部ポテンシャルの効果)の両方が含まれ、磁化分布を高精度で評価するためにはそれらを分離する必要がある。マンガン酸化物の磁化分布を解析するために、磁気変態温度の上下で得た位相情報の演算から電場情報を除去し、磁場情報のみを抽出する方法を確立した。その結果、磁気的に相分離した状態では、ゼロ磁場下で磁束は強磁性相の内部で完全に閉じており、非磁性相への浸みだしが無いことなど、マンガン酸化物の磁気微細構造に関する基本的な性質を明らかにできた。また、磁場情報のみを抽出する別な方法として、入射電子線の方向を180度変えて撮影した一対のホログラムの解析も行っており、試料をTEM内で加熱・冷却できない場合などに有効であることを確認している。 2.磁区構造の温度依存性、外部磁場に対する依存性の評価 磁性相と非磁性相(反強磁性相)が共存する、いわゆる相分離状態の組織の安定性を考察するために、温度揺らぎの効果と外部磁場の効果を検証した。入射電子線の輝度調整に基づく、いわゆるビームヒーティングの効果を利用したところ、磁気相分離した組織は温度揺らぎに対して極めて敏感で、孤立した複数の強磁性ドメインが容易に連結して大きな強磁性領域が形成される様子など、マンガン酸化物の伝導性と微細構造の相関を解明する上で重要な結果を得た。また、磁気的に相分離した状態に弱い磁場を印加する実験も行っており、強磁性ドメインの磁束のカイラリティー変化のプロセスなど、磁気記録にも応用し得る研究成果を得ている。 当初目的とした、ホログラフィーによるナノスケールでの磁区構造評価法の確立や、磁気相変態の動的観察に関する知見の集積を達成できたと考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] D.Shindo: "Electron Holography of Nanocrystalline Magnetic Materials"Mater.Trans.. 44. 2025-2034 (2003)
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[Publications] Y.Gao, D.Shindo: "Mediated exchange interaction in Fe-Nb-B nanocrystalline soft magnetic materials"Phys.Rev.B. 67. 172409(1)-172409(4) (2003)
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[Publications] Y.Murakami, J.H.Yoo, D.Shindo et al.: "Magnetization distribution in the mixed-phase state of hole-doped manganites"Nature. 423. 965-968 (2003)
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[Publications] Y.Gao, D.Shindo: "Domain structures of nanocrystalline Fe_<90>Zr_7B_3 alloy studied by Lorentz microscopy"Science and Technology of Advanced Materials. 4. 353-359 (2003)
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[Publications] D.Shindo et al.: "Characterization of a Co-CoO Obliquely Evaporated Magnetic Tape by Analytical Electron Microscopy and Electron Holography"Microscopy and Microanalysis. 10. 116-121 (2004)
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[Publications] Y.Murakami, D.Shindo et al.: "Magnetic domain structure in a ferromagnetic shape memory alloy Ni_<51>Fe_<22>Ga_<27> studied by electron holography and Lorentz microscopy"Appl.Phys.Lett.. 82. 3695-3697 (2003)