Research Abstract |
電子デバイスの製作過程では,ウエハ上に製作された多数のチップは分割され,パッケージされて製品となる.とりわけ光学デバイスでは,光学窓を組み込む等の工程が必要である.したがって,ウエハやガラスの所望の箇所を接合したり,配線したりすることができれば,新しい素子の作製方法として適用される可能性も大きい. そこで,本研究ではガラスを基板として用い,ガラスの透明性を生かして,ガラス上に配線を行ったり,シリコンウエハーを接合することで,光学的なセンサーを作製する方法を考案その可能性を検討すると共に,液体の表面張力を利用したレンズ形状の形成についても検討した. 1.金蔵粉末をのせたガラス上に下方からアルゴンイオンレーザを照射することで,ガラス上に金属粉末を溶融させ,電気配線を作製した.その結果,銅,アルミニウムをソーダガラス,パイレックスガラス,石英ガラス上に堆積でき,電気伝導性を有していることが明らかになった.配線の太さは50マイクロメートル程度,電気伝導性はアルミニウム,銅の場合でそれぞれ長さ1mm当たり,0.017-0.64Ω,0.0014-0.2Ωであった.この手法により,ガラス上に配線を施し,簡単な回路を作製できた. 2.金属粉末の代わりに,シリコンウエハーをのせ,同様にアルゴンイオンレーザを照射することで,ガラスとシリコンウエハーを接合できた.また,その際,ガラスを予熱することでクラックの生成をおさえることが出来た. 3.グリセリンと水といったお互い不溶な2液の界面に光硬化性樹脂を浮かべるとレンズ形状を形成する.そこに,紫外線を照射することでレンズ形状を作成できる.その曲率は液間の界面張力によって決まるため,界面張力を変化させることで曲率を変化させられる. 以上のことから,これらを組み合わせることで光センサデバイス作製の可能性が明らかになった.
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