2001 Fiscal Year Annual Research Report
トライボコーティング潤滑法による宇宙機器の摩擦制御とその実用システムの開発
Project/Area Number |
13555038
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
足立 幸志 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10222621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 健 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50332515)
加藤 康司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005443)
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Keywords | トライボコーティング / 宇宙機器 / 固体潤滑 / 転がり軸受 / 低摩擦 / 蒸着 / 摩擦支援 / なじみ |
Research Abstract |
本研究では,当研究室で提案している宇宙機器のための新しい潤滑法(トライボコーティング潤滑:摩擦支援型蒸着膜形成法)の転がり軸受への応用の可能性を明らかにし,実用システムへ展開することを目的としている. 1年目の本年は,転がり軸受に対するインジウムのトライボコーティングにより超高真空中における摩擦制御が実用的な範囲で可能であることを明らかにした.すなわち,転がり軸受に対するインジウムのトライボコーティングによリ現在使用されている超高真空用転がり軸受の摩擦係数0.005と同等,もしくはそれ以下の安定した低摩擦係数を与えることを実証した. 本研究で明らかにされたこの低摩擦を実現するための必要条件(成膜条件)を以下に示す. (1)転がり軸受の内・外輸に均一な移着膜が形成される場合,0.005以下の安定した低摩擦が得られる.この均一な移着膜の形成条件が低摩擦のための必要条件となる. (2)トライボコーティング過程及びなじみ過程の回転速度は低いほど安定した低摩擦が得られる.本実験では,実験可能な低回転速度である5rpmの時,最も安定した低摩擦を実現した. (3)被膜供給速度は,安定した低摩擦のための最適値が存在し,その値は,6-20nm/minである.これは潤滑材の加熱温度で1000-1070Kに相当し,真空環境下でインジウムを蒸発させることのできるぎりぎリの低い温度に相当する. (4)被膜供給膜厚は,安定した低摩擦のための最適値が存在し,その値は,約100-400nmである.この値は,スラスト荷重と被膜膜厚によリ決定される被膜に与えられる接触圧力が800-1400MPaに相当する.
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