2001 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドットの光イオン化を用いた超高感度中赤外光検出器の開発
Project/Area Number |
13555104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
島田 洋蔵 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10292749)
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Keywords | 量子ドット / 光検出 / ナノ構造 / ヘテロ構造 / 赤外線 / サブバンド間遷移 |
Research Abstract |
波長数μmから10μm程度の中赤外光領域は、物理・化学分光、環境計測、リモートセンシング、サーモグラフィー、暗視装置、赤外線天文学など、様々な分野で非常にその重要性を増しつつある。従来、この波長領域では、材料信頼性の低い狭ギャップ半導体が用いられていたが、量子井戸中のサブバンド間遷移を用いる量子井戸赤外光検出器が実現され、半導体工学のベースに載るようになってきた。しかし、量子井戸赤外光検出器は、光選択則のために垂直入射光に対して感度を持たないという欠点がある。この問題を克服し、しかも高感度の赤外光検出を行うために、自己組織化InAs量子ドットを変調ドープ量子井戸に埋め込んだ新しい量子ドット赤外光検出器を提案し、素子の高性能化と量子ドット特性の解明に向けて研究を行っている。 本年度の主な成果は、以下の通りである。 1.量子ドット赤外光検出器の設計には、量子ドットの電子状態の理解が必要不可欠である。そのため、量子ドット中の基底s準位の束縛エネルギーを赤外光電流測定より、伝導帯、価電子帯について求め、GaAs中に埋め込まれたInAs量子ドットのバンド図を構成できた。さらに、束縛エネルギーのドットサイズ依存症について検討し、電子に対する束縛エネルギーは非常に大きなサイズ依存症を示すのに対して、正孔に対するそれは非常に小さいことを見出した。また、近赤外光を用いたバンド間光電流スペクトル測定との比較より、量子ドットと濡れ層との結合が弱いことが示唆された。 2.提案している量子ドット赤外光検出器において、光励起キャリア寿命が量子ドット層と伝導ヘテロ界面の間の距離に指数関数的に依存することを見出し、適当な素子設計により、液体窒素温度でも1ms程度の極めて長いキャリア寿命が得られることがわかった。これより求まる光伝導利得は、10^<5-6>にも達した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.W.Lee, K.Hirakawa: "Lifetime of photoexcited carriers in modulation-doped quantum dot infrared photodetectors"Physica E. (印刷中).
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[Publications] Ph.Lelong, K.Hirakawa, K.Hirotani, S.-W.Lee, H.Sakaki: "Fano profiles in bound-to-continuum intersubband transitions in negatively charged InAs quantum dots"Proceedings of the 25th International Conference on the Physics of Semiconductors. 1163-1164 (2001)
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[Publications] K.Hirakawa, K.Yamanaka, Y.Kawaguchi, M.Endo, et al.: "Far-infrared photoresponse of the magnetoresistance of the two-dimensional electron systems in the integer quantized Hall regime"Physical Review B. Vol.63, No.8. 85320-85324 (2001)
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[Publications] Y.Kawaguchi, K.Hirakawa, M.Saeki, K.Yamanaka, S.Komiyama: "Performance of high-sensitivity quantum Hall far infrared photodetectors"Applied Physics Letters. Vol.80, No.1. 136-138 (2002)
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[Publications] Y.Kawano, S.Komiyama, K.Hirakawa: "Suppression of electron-hole pair recombination in edge states in quantum Hall regimes"Physica B. Vol.298, No.1-4. 33-37 (2001)
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[Publications] N.Sekine, K.Hirakawa, M.Vosseburger, P.Haring Bolivar, et al.: "Crossover from coherent to incoherent excitation of two-dimensional plasmons in GaAs/AlxGal-xAs single quantum wells by femtosecond laser pulses"Physical Review B(Rapid Communications). Vol.64, No.20. 201323-201326(R) (2001)